英・グラスゴー大学におけるデジタル保存の取組を紹介するブログ“Digital Preservation @ University of Glasgow”の2020年6月29日付け記事で、ベイジアンネットワークに基づいた方法論を使用してデジタル保存におけるリスクを定量化し、1つ以上のリスク要因が変化した場合の結果を比較できるツールDiAGRAMが紹介されています。
同ツールは、英国国立公文書館が、国内の5つのアーカイブ及び英・ウォーリック大学の統計学者との協力を通じ開発を行っているものです。2020年7月6日時点では、バージョン0.9.6(プロトタイプ)とあり、ステータスは開発中となっています。
ユーザーは最初に、スタッフの技術スキル、システムのセキュリティ、チェックサムの利用、情報管理、保存するデジタルファイルの種類、ストレージ、物理的なリスク(洪水)に関する内容を含む9つの質問への回答を通じ、デジタル保存のリスクレベルを示すモデルを作成します。作成後のモデルに対し、さまざまなリスク要因を変化させる機能が設けられており、各リスク要因の変化がリスクレベルに及ぼす影響を比較することができます。
Quantifying digital preservation risk(Digital Preservation @ University of Glasgow, 2020/6/29)
https://universityofglasgowdigitalpreservation.wordpress.com/2020/06/29/quantifying-digital-preservation-risk/
DiAGRAM – The Digital Archiving Graphical Risk Assessment Model
https://nationalarchives.shinyapps.io/DiAGRAM-dev/
※DiAGRAMのプロジェクトページです。
Quantifying Digital Preservation Risk: introducing a new tool for decision making (online workshop 1)(Digital Preservation Coalition)
https://www.dpconline.org/events/past-events/quantifying-digital-preservation-risk-online-workshop
※英・電子情報保存連合が2020年6月16日に開催した、DiAGRAMに関するオンラインワークショップのページです。当日使用した発表資料へのリンクが掲載されています。
参考:
英国国立公文書館(TNA)、新たなデジタル戦略“Plugged In, Powered Up”を公表:デジタル保存に関するオンライン研修も提供予定
Posted 2020年1月24日
https://current.ndl.go.jp/node/40047
英・電子情報保存連合(DPC)、組織のデジタル保存における成熟度の測定ツール“DPC Rapid Assessment Model”を公開
Posted 2019年9月20日
https://current.ndl.go.jp/node/39079
米・国家デジタル管理連盟(NDSA)、デジタル保存の支援ツール“Levels of Digital Preservation”の第2版を公開
Posted 2019年11月8日
https://current.ndl.go.jp/node/39469
E2249 – 「ごっこ遊び」で学ぶ電子情報保存:ボードゲームレビュー
カレントアウェアネス-E No.389 2020.04.23
https://current.ndl.go.jp/e2249
E2200 – 組織内でデジタル保存の重要性を説明するためのガイド
カレントアウェアネス-E No.380 2019.11.21
https://current.ndl.go.jp/e2200