2020年6月17日、カナダ・ブリティッシュコロンビア州のロイヤルBC博物館が、同州の先住民族に関する写真のデジタル化画像約1万6,000点を公開したと発表しています。
デジタル化されたものは、1800年代後半から1970年代に撮影された写真で、デジタル化前には、言語別に整理され館内の木製のインデックスカードの引き出しにおさめられていました。
2018年5月に開始され2020年4月に終了した、インデックスカードに取り付けられている写真のデジタル化作業では、撮影されている場所・人・物に関して詳細に書かれている写真裏面の撮影も行われており、同写真が閲覧できるデータベースでは、被写体となっている先住民の名前から検索することもできると説明されています。その他、同館では、同州の先住民族の代表に会って、デジタル化された画像を収めたUSBドライブを提供しています。
また、同館は、同館の先住民諮問擁護委員会(Indigenous Advisory and Advocacy Committee:IAAC)の指導に基づきデジタル化を行なっており、IAACでは、デジタル化された写真には、著作権等の法的理由や宗教関連の儀式といった文化的理由により、利用が制限されることを認めているほか、影響を受けるコミュニティが、特定の画像について、文化的にセンシティブな理由で共有すべきでないと判断した場合、早急に削除できるプロセスを採用するよう同館に勧告しており、データベースには削除ポリシーと画像の削除を申請するためのメールアドレスが掲載されています。
The Royal BC Museum opens up thousands of digitized photos of Indigenous communities across BC to the public(Royal BC Museum,2020/6/17)
https://www.royalbcmuseum.bc.ca/about/our-work/publications-news/latest-news/royal-bc-museum-opens-thousands-digitized-photos
Human History Collections Indigenous Collections(Royal BC Museum)
http://search-collections.royalbcmuseum.bc.ca/Ethnology
参考:
カナダ国立図書館・文書館(LAC)、先住民の文化・言語記録のデジタル化による保存支援事業を開始:“Indigenous Heritage Action Plan”も策定
Posted 2019年4月8日
https://current.ndl.go.jp/node/37971
カナダ国立図書館・文書館(LAC)、先住民の文化・言語記録を保存する31のプロジェクトに対して総額230万ドルを提供
Posted 2020年1月10日
https://current.ndl.go.jp/node/39924
オーストラリア国立図書館(NLA)が所蔵するオーストラリア先住民の言語を採録したコレクションのデジタルアーカイブが公開
Posted 2018年7月19日
https://current.ndl.go.jp/node/36348
アイヌ文化の復興・発展のナショナルセンター「ウポポイ(民族共生象徴空間)」(北海道)が2020年7月12日に開業:空間内の「国立アイヌ民族博物館」も同日に開館
Posted 2020年6月22日
https://current.ndl.go.jp/node/41289
CA1970 – 日本の図書館と先住民族:IFLA2019年アテネ大会先住民分科会でアイヌ民族を取り上げるセッションを組織して / 兎内勇津流, 石原真衣, 亀丸由紀子
カレントアウェアネス No.343 2020年3月20日
https://current.ndl.go.jp/ca1970