データリポジトリの信頼性に関するTRUST原則(文献紹介)

2020年5月14日付のSpringer Nature社のオープンアクセス(OA)ジャーナル“Scientific Data”に掲載された文献として、研究データ・デジタルリポジトリに関するコミュニティが共同開発したデータリポジトリの信頼性を実証するための指針「TRUST原則」が公表されています。

デジタルデータ、及びデジタルデータへのアクセスと利用を提供するリポジトリへの依存度が急速に高まっているため、データリポジトリは保有するデータを適切に管理できることを示してサービスを提供するコミュニティの信頼を得る必要があります。「TRUST原則」はこのことを背景に、1年以上の公開の議論や研究データ同盟(RDA)の「デジタルリポジトリ認証」(RDA/WDS Certification of Digital Repositories)IGにおける既存の合意事項に基づいて、デジタルリポジトリコミュニティの多様な分野を代表する利害関係者が、デジタルデータを扱うリポジトリの信頼性の指針として共同開発しました。透明性(Transparency)・責任(Responsibility)・ユーザー中心(User Focus)・持続可能性(Sustainability)・技術(Technology)の5原則をデータリポジトリが信頼性を維持するための指針としています。

同文献に言及しながら「TRUST原則」を採りあげた2020年5月18日付のRDAのお知らせでは、同原則の構想はRDAメンバー内の議論に端を発し、2019年4月に米国・フィラデルフィアで開催された第13回総会のセッションから正式にコミュニティとしての議論が開始されたこと、研究データ管理に関わる様々な機関によってすでに承認済でありそのことを示す声明を発表した機関もあること、などが紹介されています。

Lin, D.; Crabtree, J.; Dillo, I. et al. The TRUST Principles for digital repositories. Scientific Data 7, 144 (2020).
https://doi.org/10.1038/s41597-020-0486-7

The TRUST Principles – An RDA Community Effort(RDA,2020/5/18)
https://www.rd-alliance.org/trust-principles-rda-community-effort

参考:
E1888 – 信頼できるデータリポジトリの中核的な統一要件
カレントアウェアネス-E No.320 2017.02.23
https://current.ndl.go.jp/e1888

E2052 – FAIR原則と生命科学分野における取組状況
カレントアウェアネス-E No.353 2018.08.30
https://current.ndl.go.jp/e2052

E2144 – 研究データ同盟第13回総会<報告>
カレントアウェアネス-E No.370 2019.06.13
https://current.ndl.go.jp/e2144