欧州研究図書館協会(LIBER)、改正EU著作権指令で認められたテキスト・データ・マイニング(TDM)促進のため図書館向けのガイダンス文書を公開

2020年5月7日、欧州研究図書館協会(LIBER)は、改正EU著作権指令「デジタル単一市場における著作権指令(the Directive on Copyright in the Digital Single Market)」で認められたテキスト・データ・マイニング(TDM)促進のための図書館向けガイダンス文書の公開を発表しました。

改正EU著作権指令では、第3条で大学・教育機関・図書館が合法的にアクセスできる著作物をマイニングする権利が認められています。また、第4条では主に商業的なデータ分析や人工知能のTDMについて著作権の例外とする規定が設けられています。LIBERが今回公開したガイダンス文書は、改正EU著作権指令を活用してTDMを実施する研究者支援を行う図書館を対象として、同協会の著作権・法的事項ワーキンググループが作成したものです。

ガイダンス文書ではTDMの支援組織としての図書館の位置づけが概説されています。大学における著作権法の専門知識の中心、出版社との関係性、機関リポジトリの管理と通したオープンサイエンスの支援等の観点から、TDMにおいて研究図書館が果たす重要な役割が解説されています。また、図書館が組織における独特の位置づけを最大限活用してTDM支援を開始するために、現状の把握・知識とリソースの共有・執行部からの賛同・図書館の方針と組織・ネットワーク構築・スタッフの教育の6つの観点から検討事項が提供されています。その他、出版社との交渉や研究者のプライバシーに関する推奨事項が提供されています。

文書はリポジトリZenodoからダウンロードできます。

Research Libraries: How You Can Support Text and Data Mining(LIBER,2020/5/7)
https://libereurope.eu/blog/2020/05/07/research-libraries-how-you-can-support-text-and-data-mining/

Research Libraries: How You Can Support Text and Data Mining(zenodo,2020/5/6)
https://doi.org/10.5281/zenodo.3801114

参考:
EU理事会(Council of the EU)、EU著作権指令改正案を承認
Posted 2019年4月24日
https://current.ndl.go.jp/node/38084

欧州研究図書館協会(LIBER)、改正EU著作権指令で認められた研究目的のテキスト・データ・マイニング(TDM)が出版社の技術的保護手段により阻害される懸念を指摘
Posted 2020年3月13日
https://current.ndl.go.jp/node/40487

CA1972 – EU新著作権指令にみるデジタル時代の「図書館」像 ―デジタルコンテンツの供給源としての図書館 / 松澤邦典
カレントアウェアネス No.343 2020年3月20日
https://current.ndl.go.jp/ca1972