2020年4月16日、教育関係者、有識者、権利者で構成する「著作物の教育利用に関する関係者フォーラム」は、4月28日の改正著作権法施行による「授業目的公衆送信補償金制度」開始に先立って、教育現場での著作物利用に関するガイドラインに当たる「改正著作権法第35条運用指針(令和2(2020)年度版)」を公表しました。
改正著作権法で新設された「授業目的公衆送信補償金制度」は、学校など営利を目的としない教育機関の授業で、一定の範囲の利用につき、著作権者の許諾を得ることなく著作物の公衆送信を可能とする制度です。スタジオ型の同時一方向の遠隔授業や異時で行われる遠隔授業、予習・復習のための著作物等の送信等が対象となります。無許諾で利用できる代わりに、教育機関の設置者が著作権者に補償金を支払うことを必要としていますが、2020年度に限り補償金は「無償」となる予定です。
教育機関では、法施行後に行われるオンラインによる遠隔授業等において、公表された運用指針に沿って著作物を利用する必要があります。運用指針は、「授業」「学校その他の教育機関」などの改正著作権法の用語の定義に関して、「該当する例」「該当しない例」を付すなどして整理が行われています。また、制度の対象外となる「著作権者の利益を不当に害する」事例についても具体的に記載されています。
公表された運用指針は、新型コロナウイルスの感染拡大による遠隔授業等のニーズの急速な高まりに対応して早期施行される本制度に対応するため、2020年度に限定してこれまで同フォーラムで整理しつつあった運用指針とは別に策定されました。同時に公表された「「授業目的公衆送信補償金制度」の今後の運用について」では、2021年度以降の運用指針は、これまでの同フォーラムにおける議論を踏まえ、引き続き議論を行った上で、2020年度版とは別に取りまとめることなどが示されています。
「改正著作権法第35条運用指針(令和2(2020)年度版)」を公表(著作物の教育利用に関する関係者フォーラム,2020/4/16)
https://forum.sartras.or.jp/info/004/
「授業目的公衆送信補償金制度」の今後の運用について [PDF:4ページ] (著作物の教育利用に関する関係者フォーラム,2020/4/16)
https://forum.sartras.or.jp/wp-content/uploads/kongounyo.pdf
改正著作権法第35条運用指針(令和2(2020)年度版)[PDF:22ページ] (著作物の教育利用に関する関係者フォーラム,2020/4/16)
https://forum.sartras.or.jp/wp-content/uploads/unyoushishin2020.pdf
参考:
デジタル化・ネットワーク化の進展や障害者の情報アクセス機会の拡充等に対応した改正著作権法が成立
Posted 2018年5月23日
http://current.ndl.go.jp/node/36038
著作物の教育利用に関する関係者フォーラム、「改正著作権法第35条運用指針策定に関する論点整理」を公表
Posted 2020年1月21日
https://current.ndl.go.jp/node/40010
授業目的公衆送信補償金等管理協会(SARTRAS)、「授業目的公衆送信補償金制度」施行のための補償金を「無償」により認可申請:新型コロナウイルス感染症拡大を背景とした2020年度のみの特例
Posted 2020年4月7日
https://current.ndl.go.jp/node/40726