プレプリントサーバarXivに2020年3月25日付で、文献“Which Papers Cited Which Tweets? An Empirical Analysis Based on Scopus Data”が公開されています。
この文献は2020年9月にデンマーク・オーフスで開催予定の科学技術イノベーション指標に関する国際会議STI2020の会議録として投稿されたものです。著者は独・マックスプランク研究所のRobin Haunschild氏らです。
Haunschild氏らは、Twitter上の言及の学術的な影響関係を調査するために、論文の中で引用されたツイートに関する調査を行いました。調査にはElsevier社の抄録・引用文献データベースScopusが利用され、2007年から2019年に出版されたScopus収録論文のうち、Twitter上の言及を引用文献に挙げている2,910件の論文が分析対象になっています。
Haunschild氏らは分析の結果として、2,910件の論文全体で5,506件のTwitter上の言及が引用文献に採用されていたこと、社会科学・人文科学・コンピューター科学分野の論文がTwitter上の言及を引用文献とする割合が高かったこと、分析対象の中で最も多く引用されていたのは米国のドナルド・トランプ大統領による2012年の地球温暖化に関するツイートであったことなどを報告しています。
文献では、大半の論文においてTwitter上の言及は引用文献としては1件しか採用されておらず、例外的に多く引用文献に採用していた論文はツイートそのものを分析対象とした研究であったことなどから、Twitter上の言及の持つ学術的な影響力は小さい、としています。
Robin Haunschild, Lutz Bornmann. Which papers cited which tweets? An empirical analysis based on Scopus data
https://arxiv.org/abs/2003.11318
https://arxiv.org/ftp/arxiv/papers/2003/2003.11318.pdf
※二つ目のリンクが文献のフルテキストです。[PDF:7ページ]
参考:
Twitter上での言及数と被引用数の関係 生態学分野の論文の場合(文献紹介)
Posted 2016年11月22日
https://current.ndl.go.jp/node/32974