大手出版社Macmillan社、2019年11月から実施中の図書館向け電子書籍提供モデル変更を撤回

2020年3月17日付の米国図書館協会(ALA)のお知らせで、大手出版社Macmillan社が2019年11月1日から実施していた図書館向け電子書籍提供モデル変更を撤回し、2019年10月以前の提供モデルへ復帰することが発表されています。

米国の出版情報誌“Publishers Weekly”も同日付でMacmillan社のこの決定を報じています。“Publishers Weekly”の記事では、この決定に関する同社CEOのJohn Sargent氏による図書館員等に宛てた書簡が紹介されています。書簡の中で、Sargent氏は、2020年3月20日から図書館向け電子書籍提供モデルを10月以前のモデルに戻すこと、現在の困難な時期に図書館のコレクション拡張を支援するためいくつかのタイトルの電子書籍の提供価格を一時的に引き下げること、を示しています。

同記事では、新型コロナウイルス感染症の大流行が同社の決定に大きな役割を果たしたとしつつ、この決定がMacmillan社の収集した関連するデータに基づく結論に沿うものなのか、Macmillan社の執行部がこの方針を見直す予定があるのか、将来的に図書館の電子書籍へ別の大きな条件改訂を検討しているのか、などのことは現時点では不明である、としています。

Macmillan社は2019年11月から図書館の新刊電子書籍購入冊数に一定期間の制限を設けるモデルを導入しており、モデル変更の実施以前からALAを中心とした同社への抗議キャンペーン“eBooksForAll.org”が展開されていました。

ALA welcomes cancellation of Macmillan embargo(ALA,2020/3/17)
http://www.ala.org/news/press-releases/2020/03/ala-welcomes-cancellation-macmillan-embargo

Macmillan Abandons Library E-book Embargo(Publishers Weekly,2020/3/17)
https://www.publishersweekly.com/pw/by-topic/industry-news/libraries/article/82715-macmillan-abandons-library-e-book-embargo.html
https://www.publishersweekly.com/binary-data/ARTICLE_ATTACHMENT/file/000/004/4353-1.pdf
※2つ目のリンクはPublishers Weekly誌のウェブサイトに掲載されたMacmillan社CEOのJohn Sargent氏による図書館員等に宛てた書簡です。 [PDF:42KB]

参考:
E2226 – 米国図書館界とマクミラン社との電子書籍をめぐる攻防戦
カレントアウェアネス-E No.385 2020.02.13
https://current.ndl.go.jp/e2226

大手出版社Macmillan社、図書館向け電子書籍提供モデル変更を実施:米国図書館協会(ALA)は継続して反対キャンペーンを展開
Posted 2019年11月11日
https://current.ndl.go.jp/node/39480

米国図書館協会(ALA)、Macmillan社に電子書籍のエンバーゴの撤回を求める請願書を公開:電子書籍無料貸出サービスも開始予定
Posted 2019年9月13日
https://current.ndl.go.jp/node/39025

米国図書館協会(ALA)、大手出版社Macmillan社の新しい電子書籍貸出モデルへのエンバーゴ設定について非難する声明を発表
Posted 2019年7月29日
https://current.ndl.go.jp/node/38685