2019年12月9日、英・Jiscは、英国を拠点とする学会の出版部門5部門とオープンアクセス(OA)出版への転換を目指す試験的契約への署名を完了したことを発表しました。
一連の契約はJisc collectionによる、小規模出版社との持続可能なOAへの転換を目指した交渉の最初の成果です。英国微生物学会・英国生化学会(Biochemical Society)の完全子会社であるPortland Press社・国際水協会(IWA)出版部門・英国発生生物学会(Company of Biologists)・欧州呼吸器学会(European Respiratory Society)の学術雑誌について、Jiscによるコンソーシアムを通してOAへの転換を含む契約の署名が行われています。これらの2年間の試験契約により、個別のAPC支払ではなく契約による固定価格で、英国の学術成果が全て学会発行の学術雑誌上でOAにより公表可能になっています。
ウェルカム・トラストを含む医療研究支援団体6団体のパートナーシップによる基金“The Charity Open Access Fund(COAF)”は、2016年から2018年に、英国に拠点を置く学会の出版部門で研究成果をOAにより出版するため、約130万ポンドの助成を実施しています。このCOAFの助成の3分の1が、今回Jiscを通して契約への署名が実現したこれら5学会へ行われていたことが併せて説明されています。
Jisc consortium secures five open access agreements with learned societies(Jisc,2019/12/9)
https://www.jisc.ac.uk/news/jisc-consortium-secures-five-open-access-agreements-with-learned-societies-09-dec-2019
参考:
英・Jisc、英国微生物学会(Microbiology Society)と2年間の“Publish and Read”契約を締結
Posted 2019年10月18日
https://current.ndl.go.jp/node/39296
英・Jisc、国際水協会(IWA)出版部門との間で2年間の”Read & Publish”契約を締結
Posted 2019年12月10日
https://current.ndl.go.jp/node/39704
英国の医療関係の6機関による基金“The Charity Open Access Fund(COAF)”、研究機関のオープンアクセスの助成プロジェクトを開始
Posted 2014年10月1日
https://current.ndl.go.jp/node/27132
CA1903 – 動向レビュー:研究助成機関によるオープンアクセス義務化への大学の対応―英国の事例― / 花﨑佳代子
カレントアウェアネス No.332 2017年6月20日
https://current.ndl.go.jp/ca1903