ラテンアメリカとPlan S(文献紹介)

2019年7月11日、PeerJ Preprintsにおいて、ラテンアメリカ諸国における学術情報流通・オープンアクセス(OA)の現状からPlan Sの問題点を論じる文献” Plan S in Latin America: A precautionary note”が公開されました。著者はアルゼンチンの研究者、Humberto Debat氏とDominique Babini氏です。

Plan Sにはすでにラテンアメリカからもアルゼンチンが参加を表明しているとのことですが、今回発表されたプレプリントではラテンアメリカ諸国のPlan Sへの参加は時期尚早であるとしています。具体的な問題点として、現在のPlan Sガイドラインでは「コストと価格の透明性」に関する実際の扱いがどうなるかが不明であり、cOAlitonsにおいて妥当と認められたAPCの金額が北側諸国にとってはそうでも、ラテンアメリカにとっては大きな負担となる可能性や、仮に発展途上国には配慮がなされるとしても、ラテンアメリカがその対象になるかもわからないとしています。全体として、Plan Sの目的には賛同するとしつつ、特権的な一部の機関が国際的な学術出版の将来像を展望し、導くという姿勢に異を唱えています。

Debat H, Babini D. 2019. Plan S in Latin America: A precautionary note. PeerJ Preprints 7:e27834v2 https://doi.org/10.7287/peerj.preprints.27834v2

Coalition S、「Plan Sの実現にかかる手引き」の改訂を発表:効力発生は2021年1月1日からへ延期
Posted 2019年6月6日
http://current.ndl.go.jp/node/38293

Coalition S、Plan Sの実現にかかる手引きへのフィードバックを受けて声明を発表:フィードバックの分析結果を2019年春に公表予定
Posted 2019年2月26日
http://current.ndl.go.jp/node/37660

cOAlition S、Plan Sの要件を満たすための手順をまとめた手引きを公表:フィードバックを募集中
Posted 2018年11月29日
http://current.ndl.go.jp/node/37124

Science Europe、研究成果物の完全で即時のオープンアクセスを実現するための公的助成機関によるイニシアチブ“cOAlition S”の開始を発表
Posted 2018年9月6日
http://current.ndl.go.jp/node/36610