北海道新聞、道内人口上位15市に対し捜査機関による任意捜査への対応について取材した結果を公表 8市は場合により、利用者情報を「提供する」と回答

2019年6月3日、北海道新聞は北海道内の人口上位15市に対し行った、捜査機関による任意の情報提供依頼への対応に関する取材結果を公表しました。約半数の8市が場合によっては「提供する」と回答し、7市は令状がない場合は「提供しない」と回答したとのことです。

この取材は北海道新聞が読者のリクエストに応えて取材する企画として実施されたものです。北海道内では苫小牧市(人口上位15市に含まれる)が2017年に利用者の情報を捜査機関に任意提供し、後に市民から批判を受けています。

今回の取材では、苫小牧市のほか、札幌市、函館市など合計8市が「提供する」と回答しています。このうち札幌市は口頭や電話照会には応じず、「(捜査員が)『捜査関係事項照会書』を示し、特定の個人に絞り、緊急性があると判断した場合に」利用者情報を提供する、としています。ほかには館内で起きた事件への対応の場合に、令状がなくても相当の理由があると判断した、という図書館の回答も紹介されています。

一方、「提供しない」とした7館は「図書館の自由に関する宣言」などを根拠に挙げ、令状がない場合は情報を提供しない、としているとのことです。

<みなぶん>図書館の利用者情報 割れる判断 提供「相当の理由」/拒否「令状が必要」(北海道新聞、2019/6/3付け)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/311315

<みなぶん>図書館利用者情報 半数が提供 増える捜査協力 内心の自由、せめぎ合い続く(北海道新聞、2019/6/3付け)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/311316/

参考:
日本図書館協会(JLA)図書館の自由委員会、「捜査機関から「照会」があったとき」の改訂版を公開
Posted 2018年5月24日
http://current.ndl.go.jp/node/36044

カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社、Tカードの個人情報を捜査令状なく捜査機関に提供 武雄市図書館は貸出履歴等は提供されていないと説明
Posted 2019年1月22日
http://current.ndl.go.jp/node/37426