REFのOAポリシーによって英国の即時オープンアクセスは加速している(文献紹介)

2019年4月17日、英Open Univeristyの機関リポジトリにおいて、オープンアクセス(OA)義務化方針が、研究成果がリポジトリで公開されるまでの期間に与える影響を分析した論文” Do Authors Deposit on Time? Tracking Open Access Policy Compliance”のプレプリントが公開されました。著者は同大学のDrahomira Herrmannova氏ら3名です。同論文については2019年6月開催のJCDL(ディジタル図書館に関する代表的な国際会議)に採択されています。

Herrmannova氏らの調査では、世界のリポジトリに収録されている80万本以上の論文を収集し、出版からリポジトリ収録までの期間がきちんと判別できるようになっているか否かと、リポジトリ公開までの締切りがOA方針に盛り込まれた場合、論文採択からリポジトリ公開までの期間は短くなるかが調査されています。このうち後者について、英Research Excellence Framework (REF)でリポジトリ公開までの締切りを設けたOA方針が定められて以来、英国における採択からリポジトリ公開までの期間が他国に比べて短くなったとされています。ここから、締切りを設けたOA方針は有効であると結論付けられています。

Herrmannova, Drahomira; Pontika, Nancy and Knoth, Petr. Do Authors Deposit on Time? Tracking Open Access Policy Compliance. In: 2019 ACM/IEEE Joint Conference on Digital Libraries, 2-6 Jun 2019, Urbana-Champaign, IL.
http://oro.open.ac.uk/60478/

Study quantifies the growing traction of open access(Physics Today、2019/4/18付け)
https://physicstoday.scitation.org/do/10.1063/PT.6.2.20190418a/full/

参考:
英・Jisc、論文投稿先の雑誌がResearch Excellence FrameworkのOAポリシーに準拠しているかを確認できる“Sherpa REF”のBETA版を公開
Posted 2016年3月24日
http://current.ndl.go.jp/node/31098

英・Research England(RE)、高等教育機関による助成機関のOAポリシー遵守状況や課題等をまとめた報告書を公開
Posted 2018年6月19日
http://current.ndl.go.jp/node/36190