米・ITHAKA S+R、図書館における書籍の購入傾向分析の最終報告書を公表

2019年1月29日、米・ITHAKA S+Rが、図書館における書籍の購入傾向分析に関する最終報告書”Library Acquisition Patterns”を公表しました。

この分析はアメリカの大学図書館委おける書籍購入の現状を明らかにすることを目的に、Andrew W. Mellon財団の支援を受けて行われたもので、Ex Librisの統合図書館システムAlmaと、OCLCのWorldShare Management Servicesからデータ提供を受けています。2018年7月にはこのうちWorldShare Management Servicesのデータ分析結果が予備調査報告書として公開されていました。

今回の最終報告書は米国の124大学における2017年度の購入書籍分析と、51大学における、主な出版者および大学出版局が刊行した書籍・電子書籍に限定した、2014~2017年度の傾向変化分析の2部から構成されています。このうち2017年度の購入書籍分析からは、以下のようなことが明らかになりました。

・2017年の平均資料費は361万ドルで、平均4,750種類の紙の書籍と345種類の電子書籍を購入していた

・資料費の多くは継続購入資料に費やされており、雑誌や逐次刊行物への支出が資料費の60%を占めるのに対し、書籍購入費用は24.5%にとどまった

・紙の書籍購入費の42.6%は人文学分野に費やされており、購入書籍の49%は人文学分野のものである

また、2014~2017年度の傾向変化分析の主な結果は以下の通りです。

・資料購入費は実質ベースで増加しており、70%以上は継続購入資料に費やされている

・紙の書籍購入費は一貫して減少している。電子書籍購入費は増加傾向にあるが、紙の書籍購入費の減少を補うほどではない。なお、全分野で紙の書籍購入費は減っているが、中でもSTEM分野で減少が大きく、人文学は最も減少が小さい

Library Acquisition Patterns(ITHAKA S+R、2019/1/29付け)
https://sr.ithaka.org/publications/2019-report-library-acquisition-patterns/

National Study Examines How Book Acquisitions at Academic Libraries Have Evolved(ITHAKA S+Rブログ、2019/1/29付け)
https://sr.ithaka.org/blog/national-study-examines-how-book-acquisitions-at-academic-libraries-have-evolved/

Ithaka S+R Releases “Library Acquisition Patterns” Report(LJ infoDOCKET、2019/1/29付け)
https://www.infodocket.com/2019/01/29/ithaka-sr-releases-library-acquisition-patterns-report/

参考:
米・ITHAKA S+R、図書館における書籍の購入傾向を分析した予備調査報告書を公開
Posted 2018年7月23日
http://current.ndl.go.jp/node/36367