2018年7月19日、米・ITHAKA S+Rが、図書館における書籍の購入傾向を分析した予備調査報告書“Library Acquisition Patterns: A Preliminary Report with Data From OCLC’s WorldShare Management Services”を公開しました。
販売業者の売上高に関する情報が不十分であることから、図書館の収集業務の現状を、統合図書館システム(ILS)内のメタデータを基に分析を試みたもので、OCLCのWorldShare Management Servicesを利用している54の図書館が2017年度に購入した約18万冊の書籍のデータを分析しています。
購入された書籍の96%が冊子体で4%が電子媒体であること、冊子体の購入は正式なスポット購入(one time purchase)である一方、電子書籍も多くは同じ方法で購入されているものの31%近くは需要駆動型購入方式(DDA)によって購入されていると推測されること、電子媒体で購入された書籍の価格の中央値は冊子体よりも高いこと、公立の修士・博士号取得可能な機関ほどより多くの書籍を購入する傾向にあること、書誌検索・選書ツールGOBIを通じて書籍を購入した機関が46%・Amazon経由は25%であること、2017年度に購入された書籍の半分以上が人文学関係であること等が指摘されています。
今後、Ex LibrisのAlma利用機関からのデータを統合することで、サンプル機関を多様化し、長期間での購入パターンを検証できるようにしたいとしています。また出版者・ベンダー・図書館の相互作用についても検証したいとしています。
最終報告書は2018年の秋に発表予定です。
Library Acquisition Patterns A Preliminary Report with Data from OCLC’s WorldShare Management Services(ITHAKA S+R,2018/7/19)
http://www.sr.ithaka.org/blog/library-acquisition-patterns/
Library Acquisition Patterns: A Preliminary Report with Data From OCLC’s WorldShare Management Services
https://doi.org/10.18665/sr.307940