2019年1月24日、Digital Science社が、2000年以降のオープンアクセス(OA)の動向を分析してまとめた報告書“The Ascent of Open Access”を公開しました。
同社の研究ディスカバリープラットフォーム“Dimensions”及びOA論文へのリンクを提供するブラウザ拡張機能Unpaywallのデータを用いて、2000年から2016年までのOAの動向を分析したものです。
得られた知見として、
・助成を受け国際協力による研究の成果として発表されたOA論文は全研究成果の6.3%、引用の15.2%を占める。
・英国の持続的なOAへの取り組みは重要な戦略的有意性となっており、OAの学術成果において高位置を占め続けることを可能とした。英国の学術成果の約52%がOAであり、全体の学術成果の7%を占める。
・ブラジルは英国に続く成功者であり、51.2%の学術成果をOAで入手できる。
・中国は2010年から2番目に多く学術論文を発表する国となり、2016年にはOA論文で3番目となった。
・米国は2012年から2016年にかけてOA率41%をピークに停滞し、OA論文に占める割合は、中国をはじめとした学術論文の世界的な増加により4%減少した。
・インドは2010年段階ではそれほど注目すべき国ではなかったが、2016年に学術論文全体で9番目、OA論文では12番目に多く発表する国となった。
・日本は2010年段階ではOAの重要な支援者であったが、国際的に協力する能力が平均より徐々に弱まっていったため順位が下降した。
・オーストラリアは大学部門の相対的な規模を埋め合わせるため、OAを積極的に成長させることで、トップ12位以内の位置を維持した。
・日本、カナダ、フランスといった進展の遅い国々は順位が下降している。また、スイス、オランダといった研究基盤が小規模な国々は、大きな投資を行なっているものの全体的な生産率には追い付けていない。
・OAに投資した国々は学術成果ランキングでトップ近くに留まることができた。
等が指摘されています。
The Ascent of Open Access Report(Digital Science,2019/1/24)
https://www.digital-science.com/blog/news/the-ascent-of-open-access-report/
The Ascent of Open Access [PDF:4.3 MB]
https://digitalscience.figshare.com/articles/The_Ascent_of_Open_Access/7618751