2018年7月25日、英国国立公文書館(TNA)が、アーカイブ機関が直面している課題等に対応するための、5つの分野横断的な研究の優先事項を発表しました。
1,100万件の記録を所蔵し、所蔵する記録が年々増加していくなかで、TNAの研究・改善課題の中心をデジタル分野に移行し、コレクションを開放することで新しい利用者に届けることを優先事項として位置付けるとしています。
「記録の再考(rethinking the record)」「人・場所・ルール(people, place and rule)」「リスク・不確実性・信頼性(risk, uncertainty and trust)」「オープン性・アクセス・利用(openness, access and use)」「効果・価値・影響(impact, value and affect)」の5分野を優先事項とし、各分野での新しい方法論・理論・技術を見出すことを目的としています。
TNAでは、同課題に対応するために、分野・セクターを超えて連携するとし、歴史家、アーキビスト、保存修復家(コンサバター)、デジタル人文学者、コンピュータ科学者の技術を取り入れ、革新したいとしています。
そのための新しい取組みとして、ブロックチェーン技術を用いたデジタル記録の内容保証のためのプロジェクトARCHANGELや。クラウドソーシングプロジェクト“Operation War Diary”からの新しい洞察を見出すことができた視覚化技術を調べるためのワークショップの開催などを例示しています。
またTNAでは、博士課程の学生、TNAの職員が独自の研究を行なうリサーチハブを最近開設したことを紹介しています。
Developing our academic research offer(TNA,2018/7/25)
https://blog.nationalarchives.gov.uk/blog/developing-academic-research-offer/
参考:
英国国立公文書館(TNA)・サリー大学・Open Data Institute(ODI)による、ブロックチェーン技術を用いたデジタル記録の内容保証のためのプロジェクトARCHANGEL(記事紹介)
Posted 2018年6月7日
http://current.ndl.go.jp/node/36123
英国公文書館、第一次世界大戦時の軍隊の戦時日誌の公開進む:クラウドソーシングプロジェクト“Operation War Diary”も順調な滑り出し
Posted 2014年3月17日
http://current.ndl.go.jp/node/25706