英国国立公文書館(TNA)、永久保存すべきデジタル記録の選別において人工知能(AI)ツールの活用可能性を調査するプロジェクトの成果物を公開

英国国立公文書館(TNA)は、2021年10月付けの報告書“Using AI for Digital Records Selection in Government”を公開しています。TNAが実施した、永久保存すべきデジタル記録の選別において人工知能ツール(AI)の活用可能性を調査するプロジェクトのページに掲載されています。

政府のデジタルトランスフォーメーションによって公的記録の規模や種類が増加し、紙の記録を前提として設計された従来のプロセスでは、省庁のデジタル記録の量・多様性・複雑性等に対応できないという課題があります。同プロジェクトは、この課題解決のための取組と位置付けられています。

同プロジェクトでは、AIベンダー5社が、それぞれのツールを用いてTNAから提供されたデータセットを分類しました。プロジェクトを通じ判明したこととして、AIが記録管理者の専門知識に取って代わることはできないものの、商用AIツールが半構造化あるいは構造化されていないコレクションからの記録選別支援に適用可能であることを挙げています。

報告書“Using AI for Digital Records Selection in Government”では、プロジェクトで得られた主な知見と、AIソリューションの導入を検討している英国政府関係者向けのガイダンスがまとめられています。

また、プロジェクトの一環として、現在利用可能な商用AIツールがプロジェクトの目的に適しているかどうかの分析報告書や、同プロジェクトに参加したAIベンダー5社からの報告書等も作成されており、それらもあわせて公開されています。

Using AI for digital selection in government(TNA)
https://www.nationalarchives.gov.uk/information-management/manage-information/preserving-digital-records/research-collaboration/using-ai-for-digital-selection-in-government/
※同プロジェクトのページです。プロジェクト及び成果物の概要が紹介されています。また、成果物のダウンロード用リンクも掲載されています。

Using AI for Digital Records Selection in Government [PDF:0.6MB]
https://cdn.nationalarchives.gov.uk/documents/using-ai-digital-selection-in-government.pdf

参考:
英国国立公文書館(TNA)、新たなデジタル戦略“Plugged In, Powered Up”を公表:デジタル保存に関するオンライン研修も提供予定
Posted 2020年1月24日
https://current.ndl.go.jp/node/40047

テキストファイルのファイルフォーマット識別に関する英国国立公文書館(TNA)の研究プロジェクト(記事紹介)
Posted 2019年9月20日
https://current.ndl.go.jp/node/39078

英国国立公文書館(TNA)・サリー大学・Open Data Institute(ODI)による、ブロックチェーン技術を用いたデジタル記録の内容保証のためのプロジェクトARCHANGEL(記事紹介)
Posted 2018年6月7日
https://current.ndl.go.jp/node/36123