オープンアクセス(OA)雑誌PeerJに、2017年9月26日付けで、民間の研究助成機関におけるオープンアクセス方針の策定が受給者に与える影響を見積もった論文”Estimated effects of implementing an open access policy for grantees at a private foundation”が掲載されています。著者はゴードン・アンド・ベティ・ムーア財団(Gordon and Betty Moore Foundation)のCarly Strasser氏と、同財団でインターンをしていたハーバード大学のEesha Khare氏です。
この論文では2001年以降に、ゴードン・アンド・ベティ・ムーア財団から助成を受けた研究者が発表した2,000超の論文が掲載された500を超える雑誌について、OA化の状況やOA方針への対応を調査しています。分析の結果、「助成研究の成果はOA雑誌またはハイブリッドOA(ゴールドOA)で公開するか、それが不可能な場合は、12カ月以内にセルフ・アーカイブにより公開する(グリーンOA)」という方針を立てたとすると、財団の助成を受けた研究の99.3%はこの方針を満たせるだろうことがわかった、とされています。
この結果を受け、ゴードン・アンド・ベティ・ムーア財団は実際に上記のOA方針を策定したとのことです。
Strasser C, Khare E. (2017) Estimated effects of implementing an open access policy for grantees at a private foundation. PeerJ 5:e3853
https://doi.org/10.7717/peerj.3853
Estimating the effects of open access policies: Author Interview with Carly Strasser of the Gordon and Betty Moore Foundation(PeerJ blog、2017/9/27付け)
https://peerj.com/blog/post/115284879740/estimating-the-effects-of-open-access-policies-author-interview-with-carly-strasser/
参考:
オープンアクセスリポジトリ推進協会、「オープンアクセス方針策定ガイド」「オープンアクセス方針リンク集」を公開
Posted 2017年2月28日
http://current.ndl.go.jp/node/33566
ビル&メリンダ・ゲイツ財団のオープンアクセス方針が正式発効 助成を受けた論文はNature、Science等のトップジャーナルに掲載できない状態に
Posted 2017年1月17日
http://current.ndl.go.jp/node/33272