2017年7月19日、Journal of Academic Librarianship誌に、オランダのユトレヒト大学図書館による調査の報告記事“Predicting the Role of Library Bookshelves in 2025”が掲載されました。この記事では、同大学内の調査を元に2025年までに大学図書館における開架書架の役割がどう変化するか予想しています。同誌は有料ですが、当該記事はオープンアクセス(OA)で公開されています。
調査では、2014年以降、同大学図書館内で資料購入費の90%は電子媒体に割かれており、開架図書の80%が書庫に移動したことが示されています。また、教員の約50%は開架図書を利用しており、紙媒体の方が使いやすいと回答する一方、大学院生・学部生は開架図書をほとんど利用せず、オンラインリソースの方がより早く資料が手に入ると回答しています。しかし知的刺激のある学習環境を作り上げるという理由から、学生は図書館に開架書架があることを支持しています。
この記事では2025年でもなお、開架書架は紙媒体の方が利用者に好まれる資料へのアクセスにおいて重要な役割を担っていると予想しています。そして将来、開架スペースが電子媒体と紙媒体の双方へのアクセスを提供し、学習を促す役割を担うことができるならば、その価値が増すだろうと述べています。
Utrecht University Library study examines the future of bookshelves in the library(Library Research Service,2017/08/16)
https://www.lrs.org/2017/08/16/utrecht-university-library-study-examines-the-future-of-bookshelves-in-the-library/
Wilders, Coen. Predicting the Role of Library Bookshelves in 2025. Journal of Academic Librarianship. 2017-06-19. in press.
https://doi.org/10.1016/j.acalib.2017.06.019
参考:
ユトレヒト大学図書館、学術コミュニケーション・ツールの利用に関するアンケート調査を実施
Posted 2015年12月16日
http://current.ndl.go.jp/node/30235
ハーバード大学図書館、米国デジタル公共図書館の“書架”をブラウジングできる“Stacklife DPLA”を公開
Posted 2013年4月18日
http://current.ndl.go.jp/node/23361
CA1603 – インフォメーション・コモンズからラーニング・コモンズへ:大学図書館におけるネット世代の学習支援 / 米澤誠
カレントアウェアネス No.289 2006年9月20日
http://current.ndl.go.jp/ca1603