ビル&メリンダ・ゲイツ財団のオープンアクセス方針が正式発効 助成を受けた論文はNature、Science等のトップジャーナルに掲載できない状態に

ビル&メリンダ・ゲイツ財団の研究成果・データに関するオープンアクセス(OA)方針が2年間の移行期間を経て、2017年1月から正式に発効されました。これにより、助成研究の成果はNature、Science等のトップジャーナルに掲載できない状態にあることをNature誌が紹介しています。

同財団が2014年11月に公表したOA方針では、助成研究の成果は、オンラインで、OAで公開すること、それも出版後すぐにOAで公開し、CC-BYライセンスを付与し、エンバーゴ(猶予期間)は設けないこと等を義務付けています。2015年からの2年間は移行期間として、1年間のエンバーゴが許されていましたが、2017年からはエンバーゴは認められなくなりました。

ほとんどの学術雑誌は同財団のOA方針に対応可能ですが、Nature誌をはじめとするNatureブランドの各雑誌、Science誌、New England Journal of Medicine(NEJM)誌、米科学アカデミー紀要(PNAS)など一部のトップジャーナルはこのOA方針に対応しておらず、助成を受けた研究者はこれらの雑誌には論文を掲載できないことになります。Nature誌の記事によれば、このうちScience誌はこの問題についてビル&メリンダ・ゲイツ財団と交渉中、NEJM誌も議論中とのことです。PNASはOA方針に対する計画はないとしています。また、Springer Natureの広報担当者による、Nature及びNatureブランド各誌のような論文採択率の低い雑誌については、購読モデルが最適であると考えている、というコメントも紹介されています。

同記事には米ハーバード大学の学術コミュニケーション室長でOAプロジェクト責任者であるPeter Suber氏のコメントも掲載されており、「ゲイツ財団は妥協しないだろう。雑誌側が妥協すべきだし、いずれそうすると思う」とのことです。

Gates Foundation research can’t be published in top journals(Nature、2017/1/13付け)
http://www.nature.com/news/gates-foundation-research-can-t-be-published-in-top-journals-1.21299

参考:
ビル&メリンダ・ゲイツ財団、助成を行った研究の成果とデータセットをオープンアクセスにする方針を発表
Posted 2014年11月25日
http://current.ndl.go.jp/node/27494