学術論文はめったに否定的に引用されない 批判を目的とする引用は2.4%(記事紹介)

2015年10月26日のNature誌ニュース記事で、米科学アカデミー紀要に掲載された論文”The incidence and role of negative citations in science”が紹介されています。

この論文の著者はマサチューセッツ工科大学のChristian Catalini氏らです。Catalini氏らは免疫学者の協力を得て、論文を否定的に引用する際に使う表現を収集し、自然言語処理技術によって”Journal of Immunology”誌に掲載された約16,000本の論文の、76万以上の引用の中から否定的な引用を特定しました。

分析の結果、引用先の研究を批判する等、否定的な目的で行われる引用は全引用の2.4%に過ぎず、否定的に引用されたことのある論文の割合も全体の7.1%にとどまりました。さらに、否定的に引用されるのは専ら被引用数自体が多い、注目された論文で、その結果部分に対して批判がなされる場合が多かったとのことです。

Nature誌ではCatalini氏らの研究結果を伝えるとともに、その「否定的」の範囲が広すぎるのではないかとする専門家の意見も紹介しています。

Science papers rarely cited in negative ways(Nature、2015/10/26付け)
http://www.nature.com/news/science-papers-rarely-cited-in-negative-ways-1.18643#/

Catalini, Christian et al. The incidence and role of negative citations in science. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America. 2015, Early Edition. doi: 10.1073/pnas.1502280112,
http://www.pnas.org/content/early/2015/10/21/1502280112.abstract