生成AIによる職業のステレオタイプ化:司書はどんな人?(文献紹介)

2025年8月16日付けでJournal of Librarianship and Information Science誌に、生成AIによる職業のステレオタイプ化についての論文“What do librarians look like? Stereotyping of a profession by generative Ai”が掲載されています。著者は、オーストラリアのチャールズ・スタート大学のDirk HR Spennemann氏とKay Oddone氏です。

学校図書館、公共図書館、大学図書館という異なる館種の設定において、ChatGPTによって生成された司書の画像に、性別、民族、年齢等の偏りがあるかどうかを調査しています。

主な調査結果として、生成された司書の多くが白人として描かれており、性別は男性が多く、特に大学図書館では女性の描写はわずか6%にとどまったことや、公共・大学図書館では高齢の司書が多く描かれていたことなどを挙げています。さらに、この結果を踏まえて、図書館員という専門職における差別や不平等の固定化を避けるため、AIが生成した視覚表現を用いる際の慎重な検討の必要性を指摘しています。

Spennemann, Dirk HR; Oddone, Kay. What do librarians look like? Stereotyping of a profession by generative Ai. Journal of Librarianship and Information Science. 2025.
https://doi.org/10.1177/09610006251357286

参考:
CA1674 – 「男性図書館員」の肖像 / 河合将彦
カレントアウェアネス No.298 2008年12月20日
https://current.ndl.go.jp/ca1674

マイノリティの図書館職員を増やすことの重要性(米国)[2007年01月09日]
https://current.ndl.go.jp/car/5196