子どもの頃の読書習慣は大人になってからどう影響する? 国立青少年教育振興機構が調査研究報告書を公表

国立青少年教育振興機構が、2013年2月23日付けで、報告書「子どもの読書活動の実態とその影響・効果に関する調査研究」を発行しました。

この調査研究は、成人および子ども(特に中高校生)の読書活動の実態や現在の意識・能力を把握することを目的としたものです。子どもの頃の読書活動が成長してからの意識・能力に及ぼす影響や効果などについて調査が行われるのは初とされています。

調査は成人調査と青少年調査の2つに分かれています。成人調査では2012年2月にウェブアンケートによる質問調査を実施し、計5,258人の回答が得られました。青少年調査では、2012年3月に、サンプリングによる学校選定を行なったうえで学校を通した質問紙調査を実施し、高校2年生10,227人(278校)及び中学2年生10,941人(338校)の計21,168人から回答が得られました。

主な調査結果として以下が挙げられています。

<成人調査の結果>
(1)読書が好きな成人は約60%であり、1 か月に1 冊以上本を読んだ成人は約70%である。
(2)子どもの頃に「本を読んだこと」や「絵本を読んだこと」などの読書活動が多い成人や、現在までに「好きな本」や「忘れられない本」があると回答した成人は、1 か月に読む本の冊数や1 日の読書時間が多い。
(3)子どもの頃に読書活動が多い成人ほど、「未来志向」、「社会性」、「自己肯定」、「意欲・関心」、「文化的作法・教養」、「市民性」のすべてにおいて、現在の意識・能力が高い。特に、就学前から小学校低学年までの「家族から昔話を聞いたこと」、「本や絵本の読み聞かせをしてもらったこと」、「絵本を読んだこと」といった読書活動は、成人の「文化的作法・教養」との関係が強い。子どもの頃の読書活動と体験活動の両方が多い成人ほど、現在の意識・能力が高い。
(4)子どもの頃に読書活動が多い成人は、子どもの頃の体験活動も多い。
(5)子どもの頃に読書活動が多い成人ほど、ボランティア活動に参加したことがある人の割合が多く、また、読み聞かせを行うなど、読書を通した子どもとの関わりが多い。

<青少年調査の結果>
(6)半数以上の高校生・中学生は読書が好きで、本も読んでいる。しかし、高校生では中学生に比べその割合は低くなっている。
(7)多くの高校生・中学生は、図書館から本を借りていない。
(8)就学前から中学時代までに「本を読んだこと」や「絵本を読んだこと」などの読書活動が多い高校生・中学生や、現在までに「好きな本」や「忘れられない本」があると回答した高校生・中学生は、1か月に読む本の冊数や1日の読書時間が多い。
(9)就学前から中学時代までに読書活動が多い高校生・中学生ほど、「未来志向」、「社会性」、「自己肯定」、「意欲・関心」、「文化的作法・教養」、「市民性」、「論理的思考」のすべてにおいて、現在の意識・能力が高い。特に、就学前から小学校低学年までの「家族から昔話を聞いたこと」、「本や絵本の読み聞かせをしてもらったこと」、「絵本を読んだこと」といった読書活動は、現在における「社会性」や「文化的作法・教養」との関係が強い。就学前から中学時代までの読書活動と体験活動の両方が多い高校生・中学生ほ
ど、現在の意識・能力が高い。
(10)就学前から中学時代までに読書活動が多い高校生・中学生は、就学前から中学時代までの体験活動も多い。

子どもの読書活動の実態とその影響・効果に関する調査研究
http://www.niye.go.jp/kenkyu_houkoku/contents/detail/i/72/

独立行政法人 国立青少年教育振興機構
http://www.niye.go.jp/