2012年9月4日付けで、米国歴史学協会(American Historical Association)が、学術雑誌のオープンアクセス(OA)化の議論を憂慮する声明を発表しました。
声明の前文では、学術雑誌の価格高騰により論文へのアクセスに不公平が生じており、それを回避すべくOA化の議論が進められている現状が指摘されています。そして、学術雑誌の支払いモデルを、これまでの購読料モデルから著者支払モデルへ転換することを提言している、英国のフィンチレポートを紹介しています。
米国歴史学協会は、この著者支払モデルが、特に人文・社会科学における学術出版に対して深刻な問題を引き起こすものであるとし、アクセスの不公平の代わりに、資金の潤沢にある大学あるいは研究者と資金の乏しい若手研究者や研究機関との間に別の不公平をもたらすのではないか等とする、4項目の憂慮を表明しています。米国歴史学協会はこの声明に対する議論を呼び掛けています。
AHA Statement on Scholarly Journal Publishing(AHA Today 2012/9/24付けの記事)
http://blog.historians.org/news/1734/aha-statement-on-scholarly-journal-publishing
Not So Fast on ‘Open Access’ (Inside Higer ED 2012/9/24付けの記事)
http://www.insidehighered.com/news/2012/09/24/historians-organization-issues-statement-calling-caution-open-access
Historical Association Raises Concerns About Open-Access Movement (The Chronicle of Higher Education 2012/9/24付けのブログ記事)
http://chronicle.com/blogs/ticker/historical-association-raises-concerns-about-open-access-movement/49434