DOIが付与された電子ジャーナルの保存状況に関する調査(記事紹介)

2024年1月24日付けで“Journal of Librarianship and Scholarly Communication”誌の12巻1号に、DOIが付与された電子ジャーナルの保存状況に関する記事“Digital Scholarly Journals Are Poorly Preserved: A Study of 7 Million Articles”が掲載されています。著者は英・ロンドン大学バークベック校教授であり、Crossrefで研究開発を担当しているMartin Paul Eve氏です。

記事では、約740万件のDOIを対象に、主要な学術アーカイブ上での保存状況を調査した結果が述べられています。結果として、全体の27.6%に当たる約206万件について保存が確認できず、また、Crossref参加機関の32.9%が適切なデジタル保存を実施していないことが明らかになったとしています。

今回の調査は、調査対象としたアーカイブが限定的である等の制約はあるものの、電子ジャーナルの保存状況に関する全体像の把握に向けた試みとして、図書館、出版社、研究者に重要な示唆を与えるだろうと結論付けています。

Eve, M. P. Digital Scholarly Journals Are Poorly Preserved: A Study of 7 Million Articles. Journal of Librarianship and Scholarly Communication. 2024, 12(1), eP16288.
https://doi.org/10.31274/jlsc.16288

関連:
The digital scholarly record is at risk(LSE blog, 2024/2/13)
https://blogs.lse.ac.uk/impactofsocialsciences/2024/02/13/the-digital-scholarly-record-is-at-risk/

参考:
E2332 –消滅するOAジャーナルと長期保存のための取り組み
カレントアウェアネス-E No.404 2020.12.10
https://current.ndl.go.jp/e2332

長屋俊. CrossRefの動向 revisited. カレントアウェアネス. 2014, (322), CA1836, p. 13-17.
http://current.ndl.go.jp/ca1836