2023年7月1日、英・ラフバラ(Loughborough)大学が、同学の研究者がデジタルデータによるCO2排出量を測定する世界初のツールを開発したことを発表しました。
発表によると、デジタルデータの量は2年ごとに倍増しており、世界のデータは2025年までに180ゼタバイトを超えると推定されているとあります。また、データセンターは人間が引き起こすCO2の2.5%から3.7%を占め、航空業界(2.1%)を上回っているとし、世界的な脱炭素化政策にデジタルデータのCO2排出量を含めることは重要な要素であるとしています。
デジタルデータは主に企業によって収集・処理され、世界中の様々なデータセンターに保存されており、今回発表された世界初のツール“the data carbon ladder”を活用することで、そうした企業がそれぞれのプロジェクトの環境への影響を評価できるようになるとあります。データ取得以降の流れに沿って組織がデータのカーボンフットプリントを診断できるもので、データの取り扱いの段階が一連のプロセスで表され、各段階におけるカーボンフットプリントの算出の指標や計算式等が紹介されています。
同ツールを利用することで、組織はデータ関連活動のカーボンフットプリントを特定し、データのカーボンフットプリントを削減するためのより良いデータアプローチを検討できるとしています。
World first: Researchers create CO2 measurement tool to calculate emissions caused by digital data(Loughborough University, 2023/7/1)
https://www.lboro.ac.uk/news-events/news/2023/july/researchers-create-co2-measurement-tool/
Jackson, Thomas; Hodgkinson, Ian Richard. Is there a role for knowledge management in saving the planet from too much data?. Knowledge Management Research & Practice. 2023, 21(3), p. 427-435.
https://doi.org/10.1080/14778238.2023.2192580
※“the data carbon ladder”が紹介されている論文です。
参考:
フィンランド国立図書館、同館のカーボンフットプリント評価に関する初の報告書を公開[2023年06月05日]
https://current.ndl.go.jp/car/182811
E2544 – フィンランドの公共図書館の環境への意識や影響に関する調査
カレントアウェアネス-E No.445 2022.10.13
https://current.ndl.go.jp/e2544