カレントアウェアネス
No.163 1993.03.20
CA864
ALAが医学,法律,ビジネスに関する
レファレンス・ガイドラインを作成
ALA Standards and Guidelines Committee,Reference and Adult Services Divisionは昨年,医学,法律,ビジネスに関するレファレンス・サービスのガイドラインを作成した。
このガイドラインの概要を述べると,第一に,レファレンス・ライブラリアンの役割は情報の提供,利用者教育であって,情報を解釈したり,評価をすることではないとする。もちろん,資料の性格についての評価はしてもよいし,包括的な内容,最新情報を収録した資料を紹介すべきである。そして,ある情報について判断材料となる資料が十分に整備されていない場合には,判断を下してくれる機関を利用者に紹介する。
さらに,質問内容,利用者の名前は承諾を得ない限り口外しないこと,またレファレンス・インタビューにおいて利用者を不快にしないよう,プライバシーに立ち入らないよう,配慮することとしている。
第二に,情報源としては自館および他館の所蔵も含めた図書,雑誌,小冊子,さらに必要に応じてデータベース・サービス,サービス機関,専門家を挙げる。レフェラル・サービスの提供に際しては,外部機関についての情報を用意しておくこと,特定の法律家,病院等ではなく,公的機関を紹介することとする。
さらに,医学,法律,ビジネスの分野は情報の変化が速いので,情報の日付を明らかにすること,また可能な限り新しい情報を提供することとしている。
第三に,電話,電子メール,ファクシミリ,文書によるレファレンスにおいては,聞き違い等の誤りやさらに説明を要することが多いことから,注意を促している。電話では,簡単な事実情報以上のことは提供しない。基本的に医学,法律,ビジネス関係の情報が必要な場合は,図書館に来るべきであるとする。
最後に倫理の問題は,ALAの倫理綱領によるものとする。
以上のことの大半は,レファレンス・サービス全般に言えることであろう。しかしながら,これらの分野に関しては,数多くの質問がなされ,しかも最新で誤りのない情報が求められている。さらに,誤った情報の提供が重大な結果を招きかねないにもかかわらず,現実の図書館員の対応にはかなりの差異があるようだ。こうしたことを背景にガイドラインが作成されたわけであるが,これをもとに医学,法律,ビジネス関係レファレンスに関するコレクションの構築,研修が進められることが望まれる。
中村規子(なかむらのりこ)
Ref: Guidelines for medical, 1egal and business responses at general reference desks. RQ 31 (4) 554-555, 1992
Crowther, Janet L. Legal information for the public: a public library perspective. Law Library Journal 84 (3) 559-565, 1992