CA708 – LCにおける整理部門の機構改革 / 和中幹雄

カレントアウェアネス
No.137 1991.01.20


CA708

LCにおける整理部門の機構改革

整理技術は「目録法」と「分類法」に大別されるのが一般的である。米国議会図書館(LC)の整理部門でも伝統的にそのように大別されてきた。英米目録規則の策定に寄与し,LC適用細則を維持する目録専門員(Descriptive Cataloger)が所属する「目録部」とデューイ十進分類法の改訂に寄与し,LC分類表やLC件名標目表を維持する分類件名専門員(Subject Cataloger)が所属する「分類件名部」がそれである。これらの専門員は,LC-MARCのデータ内容を決定することを通じて全米あるいは世界中の図書館に大きな影響を与えてきている。LCが昨年(1989年)5月に開始し,2年間の業務実験の1年目を終えた「目録業務統合計画」(Whole Book Cataloging Project)は,このような枠組みを大きく変えるものとして注目される。

この計画の目的は,流れ作業につきものの「待ち時間」を解消することによって,目録レコード作成の時間短縮をはかろうとするものである。つまり既存の人員の枠内で,懸案となっているタイムラグの短縮の実現を目的とする内部努力であるといえる。その最終的な目標は,一つの資料に対して目録から分類・件名の付与,さらには書架番号の付与に至るまで,一人のカタロガーがすべてのデータを付与して,一人で目録レコード全体を完成させる体制をつくることに置かれている。

1年目の業務実験の結果は「きわめて良好」であり,生産性およびコストも既存の体制のものと遜色がなく,高い品質を保ち,実験参加者の士気も高く,成功であったと評価委員会は報告するとともに,以下のような全面的な機構改革が必要であると勧告した。

チーム方式の採用

目録専門員と分類件名専門員と目録補助員がチームを組んで作業を行う方式である。1年目の実験では,前二者の専門員は従来の業務を行い,目録補助員は予備目録と書架作業の訓練を受けた。2年目の実験では,相互に他の業務の訓練を実施しあう予定である。

このチーム方式による実験業務は,品質の面でも時間短縮の面でも高い成果を収めた。例えば,最も優先順位の高い資料(英語で書かれた研究書)の整理は,従来平均150日要していたのが平均42日に短縮された。2番目の優先順位の資料(英語で書かれた準研究書と外国語で書かれた研究書)は191日が121日に,3番目の優先順位の資料(英語で書かれた一般書と外国語で書かれた準研究書)は194日が183日にそれぞれ短縮された。また10日以内に整理されるCIPについても,平均7日強が6日強に短縮されている。チームのメンバーは,11名から13名の小人数であることが重要であるとも述べられている。

 主題別の組織化

機構全体としては,以下のような主題別の4つの部門に改組することが望ましいと提案されている。

  1. 社会科学部
  2. 歴史・文学部
  3. 芸術・科学部
  4. 地域・協同目録部

最後の4.には,東アジア,東南アジア,南アジア,ユダヤ・中東の諸言語の資料およびこれらの地域の歴史・文学に関する英語文献が含まれる。非図書資料の整理は,旧来通り特別資料部でひきつづき行われる。

以上のような評価委員会の報告を受けて館長はこの計画にゴーサインを出したが,このような改革に対する職員の反対も根強く存在し,164名のカタロガーによる抗議文も公表されている。目録専門員から見れば,あらゆる主題にわたる多様な資料が見られなくなること,分類件名専門員から見れば,専門分野の深い主題分析に専念できなくなることが大きな反対理由である。図書館における専門性とは何かが新たに問い直されることになるであろう。

和中幹雄(わなかみきお)

Ref: Cataloging directorate to be reorganized : Whole Book Cataloging gets OK. LC Inf. Bull. 49 (21) 356-357, 1990.