カレントアウェアネス
No.134 1990.10.20
CA692
全国書誌作成機関のアンケート調査
国際MARCネットワーク委員会(International MARC Network Committee ; IMNC)は国立図書館長会議の下部機構で,国の標準目録レコードのMARC形態での配布に関わる12の国立図書館から構成されている。IMNCでは,1)全国書誌作成機関による目録データの状態を正確に把握する,2)レコード作成における共通の問題を見極める,3)目録レコードの配布,目録の標準化,収録範囲や経済性を満足するための改善策を提案するために,参加館のアンケート調査を行った。
世界の主な出版物をかなりの割合で収録する書誌を出している米国議会図書館を除いて,調査を行ったすべての図書館で全国書誌を作成している。そこに収録する資料・媒体の範囲は,印刷出版物についてはほとんど網羅しているが,その周辺の印刷された資料(地図,楽譜等)については,収集・保存の点と目録レコードの供給量から,排除することが考えられてきている。
目録の標準化に関しては,その国の使用言語と関係が見られる。12館中9館でAACRを使用,あるいはそれをもとにした規則を使用している。フランス,ドイツ,日本は自国の規則を使用している。また,目録の標準化を縮小する傾向も見られる。
一方,資料発生から目録レコードの作成・配布までのタイムラグが解消しないことも明らかになった。その原因は,以下の通りである。
1)資料の量の増加と新しい資料形態の出現に伴い,特に納本段階での資料の受取が遅れること。2)レコード作成過程における各作業,特に典拠コントロール,主題分析といった作業に時間がかかること。その結果,各館では大量の滞貨を抱えることになる。3)人員・予算の削減という圧迫を受ける傾向にあること。これは,ほとんど全ての問題の原因となるようである。調査結果をうけて,IMNCでは1989年春の会合で調査の考察と問題点の改善策の提案を行った。提案された改善策は,UBCの目的達成のためのグループに分けて述べられている。
1)収録範囲:予算の削減は,資料の収集範囲,保存,書誌の収録範囲を見直す原因となっている。改善策は印刷出版物の周辺資料の選択を考慮に入れ,国立図書館の書誌の収録範囲の最低ラインを提案している。2)目録の標準化:目録レコードの国際的交換のための基準を定めることが提案された。これは,OPAC,CD-ROM,レコードの検索プログラムにも影響を与える。3)経済性:UBCの目的を達成するために,経済性と目録作成の範囲,目録の標準化のレベルは適当なバランスを保つ必要がある。国立図書館ではMARCレコードの価値に気付き,その市場価値を利用者に請求するようになった。ここでは,レコードの作成費用ではなく,配布費用を請求の基準とすることを提案した。沖野文子
Ref: Clement, Hope E. A. National bibliographic agencies cataloguing survey.
International Cataloguing & BibliographicControl 19 (1) 6-10, 1990.