特集にあたって−日本の状況

カレントアウェアネス
No.235 1999.03.20


特集にあたって−日本の状況

本特集では,「子どもと読書,図書館」をめぐる海外での動きを中心に紹介しているが,はじめに国内の状況について簡単にふれておきたい。

子どもの読書離れが言われて久しいが,90年代を迎えて学校図書館運動や読書推進運動が活発化している。課題は多く残されてはいるものの「学校図書館充実新5ヵ年計画」「学校図書館法改正」等,学校図書館の活性化へ向けた動きが胎動し,また,出版者,作家による「子どもと本の出会いの会」の結成等,子どもの本の関係者の読書推進へ向けた取り組みも目立っている。2000年には「国際子ども図書館」の部分開館が予定され,これを機に「子ども読書年」とする計画も進められている。

一方,ネットワーク化マルチメディア化の進行で,子どもたちを取り巻く情報環境が急激に変化する中で,第15期中教審答申では「生きる力」がスローガンとなり,学校現場でのインターネット活用の促進,情報リテラシー育成が注目を浴びている。情報社会の中で図書館が子どもたちの力となり得るのかどうか,その真価が問われる時代を迎えて,あらためて「子どもと読書,図書館」の問題が脚光を浴びていると言えよう。