おわりに
本報告書では、まず、蔵書評価のための基本的な方法や事例を整理・概観し(第1章)、次に、海外の国立図書館等に対する蔵書評価に関するアンケート結果の分析を行った(第2章)。そして、実際にチェックリスト法を使って、国立国会図書館における図書館情報学分野の洋書の所蔵について評価を試みた(第3章)。
国立国会図書館が有するような大規模な蔵書に対して実際に評価を行うことは容易ではない。しかしながら、本報告の第3章が示すように、適切なチェックリストを用意することができれば、それに対する所蔵率の観点からの評価は十分に可能である。この数値に基づいて、収集方針・方法に関する検討を行うことによって、蔵書構築に対する何らかの示唆を得ることができるだろう。
もちろん、チェックリスト自体の妥当性の検証・書誌同定における技術的問題などの課題がいくつかある。そもそもチェックリスト法とて、万能な方法ではない。これらの限界を十分に認識しつつ、実証的に算出された所蔵率を活用して、今後、図書館情報学分野以外の領域についての蔵書評価に進んでいくことが必要であろう。