E1094 – オランダ・アムステルダムに開館した世界初の「空港図書館」

カレントアウェアネス-E

No.179 2010.09.16

 

 E1094

オランダ・アムステルダムに開館した世界初の「空港図書館」

 

 2010年8月25日,オランダ・アムステルダムのスキポール空港(Schiphol)の図書館が公式に開館した。名称は「空港図書館」(Airport Library)で,図書館が空港の中に常設されるのは世界初とのことである。開館セレモニーには,オランダのローレンティン王女も出席し,祝辞を述べている。

 同館のウェブサイトの情報によると,スキポール空港に図書館を設置する計画は,アムステルダムの公共図書館などのグループによって2006年から検討されていたとのことである。様々な施設を持ち,年間数百万人の旅客が行き交うスキポール空港を1つの街とみなし,「1つの街に1つの図書館を」という観点から空港図書館を設置したいと考えられていたようである。図書館の利用対象は空港で出発を待つ旅客で,図書館で待ち時間を有効に過ごしてもらうこと,図書館の資料を通してオランダの文化に触れてもらうことが目的とされている。オランダの教育・文化・科学省が同館のメインスポンサーとなっており,財政的な支援を行っている。

 空港図書館の面積は約90平方メートルで,空港内のパスポートコントロールを通過した後にある「オランダ大通り」(Holland Boulevard)と呼ばれるエリアに位置している。約30か国語に翻訳されたオランダの小説を始めとする約1,250冊の図書や,オランダの文化に関する写真集・写真展示・動画,オランダ人アーティストの音楽などが提供され,テーブル席11席(うち4席にiPadを設置),ソファ型シート14席(うち5席にiPadを設置)が用意されている。常駐のスタッフはおらず,資料は基本的にセルフサービスで提供されるため,1日24時間・年中無休で開館している。なお,貸出サービスは行われていないようである。

 スキポール空港を利用する旅客の40%以上が乗り継ぎを目的としているとのことで,様々な国の人々が搭乗までの時間を空港内で過ごしている。そのため,空港図書館がオランダ国外の人々にもオランダの文化を伝える機会を提供することができると期待されている。

Ref:
http://www.airportlibrary.nl/en/about-airport-library.html
http://www.airportlibrary.nl/en/facts-a-figures.html
http://www.moodiereport.com/document.php?c_id=1177&doc_id=25054
http://www.amsterdamlogue.com/amsterdam-schiphols-airport-library.html
http://www.schiphol.nl/Reizigers/WinkelenOntspannen/NaDePaspoortcontrole/HollandBoulevardSchiphol/DeAirportLibrary.htm