CA1952 – 灰色文献のいま~2010年代の動向を中心に~ / 池田貴儀

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カレントアウェアネス
No.340 2019年6月20日

 

CA1952

 

灰色文献のいま
~2010年代の動向を中心に~

キハラ株式会社:池田貴儀(いけだきよし)

 

1. はじめに

 灰色文献国際会議(International Conference on Grey Literature;以下「GL会議」。会議毎にGL+開催回数で表記)(1)の最近の話題は、磯本のGL17(E1787参照)や熊崎のGL20(E2108参照)等の報告(E1382E1612参照)(2)にもあるように、オープンサイエンス、オープンアクセス、研究データである。これは、GL20(3)と2019年10月に開催されるGL21(4)の全体テーマや、「灰色文献資源の政策策定に関するピサ宣言(以下「ピサ宣言」)」(5)で謳われるオープンサイエンスやオープンアクセス推進の文言からもうかがい知ることができる。本稿ではGL会議および主催のGreyNetの動向(6)を中心に、もう少し俯瞰的な視点から、ここ10年の大きな流れを踏まえつつ、灰色文献の最新の状況を紹介していく。なお、誌面の都合上、個々の会議での発表内容の詳述まではできないため、なるべく出典元を明示したので参照いただければ幸いである。

 

2. GL会議のテーマからみた動向

 GL会議の全体テーマ、口頭発表等セッションテーマ、会議トピックス(7)を分析(8)すると、概ね次の9つが2010年代の灰色文献の主な話題として挙げられる。

  • (1)多様な灰色文献(データ、非テキストなど)
  • (2)研究コミュニティ、研究サイクル
  • (3)標準化(メタデータ、識別子など)
  • (4)質的側面(査読、品質管理など)
  • (5)法的側面(著作権、ライセンスなど)
  • (6)図書館員の役割、図書館情報学教育
  • (7)オープンアクセス、オープンサイエンス
  • (8)ソーシャル・ネットワーキング
  • (9)一般コミュニティとの関わり、政策意思決定

 (1)や(2)のように、ほぼ毎年継続的なテーマとなるもの、(3)のように2011年から2013年の前半までが主流なものもある。一方で(4)から(6)は、プラハ定義(9)が提案された2010年から2013年にかけて話題となり、一度間が空いて2018年頃から再び登場する。なお、プラハ定義は継続して議論中のままである(10)

 1990年代は電子化された情報への関心が見られ(11)、2000年代はインターネット上の情報資源、情報の蓄積や発信に関心が高まってくる。この流れから2010年頃まではリポジトリ(12)が、2010年以降はオープンアクセスに話題が移行していく。

 また、2010年代は、既存及び新しいステークホルダーの議論など、広く一般公衆への働きかけに関心が向けられ始める時期でもあった(13)。また(8)についての関心や可能性、影響そしてその情報自体の信頼性という形でテーマも変化していく。さらに2014年のピサ宣言の公表直前から(9)に関連する話題も継続的に取り上げられていくようになる。

 

3. 灰色文献・リポジトリ会議と話題の傾向

 GL会議とは異なるが、チェコ共和国では2008年より毎年、灰色文献・リポジトリ会議(Conference on Grey Literature and Repositories)が開催されている(14)。この会議の2016年までの9年間のプレゼンテーションや会議録からキーワードを抽出した傾向分析の結果がGL18で報告された(15)。デジタル図書館、リポジトリ、学術コミュニケーション、ユーザーインターフェイス、著作権、研究データ、電子リソース、情報検索、オープンアクセスなどが主要な項目であった。これは2010年代半ばまでの傾向ではあるが、GL会議のテーマと類似しており、収集よりも保存と公開、データや質的側面へ関心が向いていることが見てとれる。

 

4. GreyNetの研究活動から見た動向

 GL会議のテーマとは別にもう一つ注目すべきは、GreyNetが2003年から行っている、毎年特定の研究テーマを設定して調査等を実施し、進捗や成果をその年のGL会議で報告するという灰色文献の研究プロジェクトである(16)。2010年は商業出版と灰色文献の査読の比較研究、2011年から2012年は会議論文と付随する研究データをリンクさせるEnhanced Publications Project(EPP)(17)、2013年から2014年はGreyGuide(18)、2015年は累積した事例研究、2016年はピサ宣言、2017年にはデータペーパー(19)を調査し、単にデータのファイルがある状態から、抄録やメタデータを付与し、論文とデータが共有され、データの引用および研究データの潜在的な再利用を促進することが目指された。2018年はオープンデータの引用と再利用、2019年は社会や科学のためのオープンアクセスが主なテーマであった。

 

5. ピサ宣言の影響評価とGL会議テーマへの関わり

 GreyNetの研究プロジェクトのもと、ピサ宣言の影響を評価する調査が実施され、GL18で結果が報告された(20)。ピサ宣言の15項目について、署名者自身の組織の関心を尋ねる質問では、技術的な面の15.の「灰色文献共有の相互運用可能な基準、灰色文献の出版物にデータや非テキストコンテンツをリンクさせる仕組み」が最も高い結果であった(約84%)。次いで、8.の「法定納本制度や著作権法の改定」(約75%)、2.の「組織間のより一層の連携・協力」(約67%)の順である。他方、ピサ宣言の一般公衆への普及促進に関する状況については、会議など限定された機会や組織のウェブサイトの発信に留まり、ソーシャルメディアを通じた宣伝の必要性も示された。この結果が反映されてか、翌年のGL19の各テーマが関連する内容となっている(21)。そしてピサ宣言でも謳われる研究データ、オープンサイエンス、オープンアクセスがGL20以降のテーマとして続いていく。なお、ピサ宣言は、2019年4月1日現在、 23の言語に翻訳され146人が署名している(22)

 

6. 学位論文の研究における話題の変遷

 主要な灰色文献の一つに学位論文がある。10年以上にわたり学位論文に焦点をあててきたシェプフェル(Joachim Schöpfel)によれば(23)、当該分野の研究は学位論文自体の特性や探索から始まり、電子学位論文(ETD)、オープンアクセスや機関リポジトリにおけるアクセシビリティへ研究は移っていくという。その後、論文の補完的資料としての研究データ(位置付け、保存、共有、公開、再利用)、研究データ(生データ、画像など)をデジタル技術(データマイニング、マッピング、視覚化など)を使い伝達する技術や、研究データ管理プロジェクトへと変わりつつある。また、論文執筆やデータ利用における個人情報や許諾が必要なコンテンツの法的課題、データの不完全さおよび説明不足、組織化や構造化がされず他の再利用不可能な研究データとの混在表示、不適切なフォーマットによるオープンデータの障害も示されている(24)。このように一つの形態の灰色文献を見ても、関心が大きく変化していることがわかる。

 

7. インターネットの普及と灰色文献の概念の変化

 さらにシェプフェルは、デジタル時代の学位論文は、未だに灰色文献なのかについて、議論の余地があると指摘する(25)。従来は商業出版ルートに乗らない入手困難な資料をいかに探し出すかに重きが置かれてきた。しかし、デジタル化やインターネットの普及は、灰色文献のアクセシビリティを大きく変化させた(26)。岡村も灰色文献の問題の所在が変化してきていると指摘している(27)。インターネットを通じて灰色文献が流通することで、灰色文献そのものの概念が変わり、灰色ではなくなるという指摘は1993年のGL1から予見されていたが、それが現実のものとなりつつある(28)

 

8. 多様化する灰色文献と新たな課題

 過去の定義の議論の中で、灰色文献の範囲が拡大し、またインターネット上で刊行された灰色文献の区別の不十分さが大きな課題と拙稿で指摘した(29)(30)。しかし膨大な知識や情報が生み出される今日、出版物以外のデータや資源など、あらゆるものを対象とせざるを得ない状況にきている(31)

 GL19では、動画(Video)が新たな灰色文献と指摘された(32)。図書館はテキストの会議報告の収集については長年の蓄積があるが、動画の会議記録についてはまだ十分ではない(33)。メタデータが欠如し、永続的なアクセスの保証がなされないほか、引用や検索や再利用も難しく、貴重な情報が隠されたままや、または失われている状態にあるという(34)(35)

 一方GL20では、グレーデータ(Grey data)としての研究データを記録、価値、帰属、持続性、利用、公開、査読の観点からWhite(open)/Grey/Dark dataに区分する提案があった(36)。灰色文献の色(37)や濃度(38)(39)による区分けは昔から存在するが、データに対する試みや新たに質の観点も含めたことが特徴で、今後データとどう向き合うべきかの一つの問題提起と言える。

 

9. おわりに~今後の図書館員の役割とは~

 拙稿で「灰色文献を探しアクセスできるように努力を続けているのは図書館員」という2006年のナタラージャン(Natarajan. M)の言葉を紹介した(40)(41)

 2010年代に入り、探すこと以上に整理、保存、提供し、灰色文献と利用者を結び付けることが重要な役割となってきた。そして、ピサ宣言にもあるように標準化や保存、質の向上を目指し、作成元の意識を変えるための働きかけも一つの役割と言える。また、オルトメトリクスなどの新しいツールを活用し、灰色文献の社会への影響に関心を持つことも、オープンサイエンス時代における図書館員の役割と言えるかもしれない(42)。そして、研究データ管理である(43)(44)(45)。これからは、従来の灰色文献から新たな灰色文献へ、図書館員の意識が変わっていくことが求められる。

 

(1) 灰色文献を主題とする人たちが一同に集まる国際会議。毎年全体テーマが決められ、基調講演、口頭発表、ポスター発表、企業展示、見学と会議前夜のGreyNet Award Dinnerで構成される。定義の議論、灰色文献流通のためのデータベースに関する議論、灰色文献分野貢献者へのAnnual Awardの授与なども行われ、世界の灰色文献の動向がわかる場といえる。

(2) 磯本(E1787参照)・熊崎(E2108参照)以外での、過去の日本からの参加者の報告は以下のとおり。最新動向と会議の雰囲気を知れる貴重な記録である。一方、継続しての参加者がいないため、報告が無い回もある。また、1回から2回のみの参加者も多く、断片的な内容になってしまう面もある。
坂本現意ほか. 第一回灰色文献国際会議の報告. 情報管理. 1994. 37(4), p. 311-318.
https://doi.org/10.1241/johokanri.37.311,(参照 2019-04-12).
小原満穂. 第1回灰色文献国際会議に参加して. 科学技術文献サービス. 1995,(105), p. 11-16.
米村隆二. 第1回灰色文献国際会議に参加して. 国立国会図書館月報. 1994,(399), p. 12-16.
愛宕隆治. 集会報告:第5回灰色文献国際会議. 情報管理. 2004, 46(11), p. 770-771.
https://doi.org/10.1241/johokanri.46.770,(参照 2019-04-12).
第6回灰色文献国際会議. 国立国会図書館月報. 2005,(526), p. 33-34.
池田貴儀. 第9回灰色文献国際会議に参加して. 大学図書館問題研究会京都. 2008,(264), p. 6-8.
池田貴儀. 第11回灰色文献国際会議に参加して. 大学図書館問題研究会京都. 2010,(275), p. 9-12.
池田貴儀. 灰色文献をめぐる動向:灰色文献国際会議の議論を中心に. 情報管理. 2010, 53(8), p. 428-440.(第11回)
https://doi.org/10.1241/johokanri.53.428,(参照 2019-04-12).
大濱隆司. 集会報告:第13回灰色文献国際会議. 情報管理. 2012, 55(2), p. 136-138.
https://doi.org/10.1241/johokanri.55.136,(参照 2019-04-12).
池田貴儀. インターネット時代の灰色文献:灰色文献の定義の変容とピサ宣言を中心に. 情報管理. 2015, 58(3), p. 193-203. (第16回)
https://doi.org/10.1241/johokanri.58.193,(参照 2019-04-12).
池田貴儀. GreyNet Award Dinner 2014. 大学の図書館. 2015, 34(10), p. 207.( 第16回)
磯本善男. 多様化する灰色文献とその取組みからオープンサイエンスを考える:GL17,GreyForum4.1参加報告. 大学図書館研究. 2017,(106), p.82-89.
https://doi.org/10.20722/jcul.1473,( 参照 2019-04-12).

(3) GL20の全体テーマは「研究データは灰色文献を刺激し支える(Research Data Fuels and Sustains Grey Literature)」であった(E2108参照)。
GL20 Program Book. New Orleans, USA, 2018-12-3/4, GreyNet. TextRelease, 136p.
http://greyguide.isti.cnr.it/attachments/category/31/GL20_ProgramBook.pdf,(accessed 2019-04-25).

(4) GL21の全体テーマは「オープンサイエンスは新しい灰色文献の形を包含する(Open Science Encompasses New Forms of Grey Literature)」である。そして、口頭発表等セッションテーマには、オープンサイエンス、オープンアクセス、オープンリソースが設定されている。科学の原理と情報技術の進歩が灰色文献にどのような影響を与え、オープンサイエンスにどのような貢献をしたかの検証がGL21の目的として挙がっている。
GL21 Conference Announcement, GreyNet Newsletter. 2019, 11(1).
http://www.greynet.org/images/Newsletter_Vol11N1,_2019.pdf,(accessed 2019-04-01).
“Conference Program”. Twenty-First International Conference on Grey Literature.
http://www.textrelease.com/images/GL21_Conference_ Program.pdf,(accessed 2019-04-24).

(5) “灰色文献資源の政策策定に関するピサ宣言”. 池田貴儀訳. GreyGuide. 2014-05-16.
http://greyguiderep.isti.cnr.it/Pisadeclapdf/Japanese-PisaDeclaration.pdf,(参照 2019-04-01).

(6) 主催であるGreyNetは2017年に25周年を迎えた。
TextRelease/Grey Literature Network Service. GreyNet International Business Report 2019. 2019.
http://www.greynet.org/images/GreyNet_Business_Report_2019.pdf,(accessed 2019-04-01).

(7) 口頭発表の演題募集の際、GreyNetは4から8の会議トピックスを提示し、発表者はエントリー時に一つを選択する。会議トピックスと口頭発表セッションテーマはイコールでない場合もある。セッションテーマは集まった原稿も考慮しながら決まると予想され、会議トピックスはGreyNet側が元々想定しているその年のテーマを知る手がかりとなる。

(8) 分析には、口頭発表等セッションテーマ(GL12からGL17は各4件、GL18とGL19は各3件+パネルセッション1件、GL20は3件+特別パネルセッション1件)、会議トピックス(GL12:6件、GL13:4件、GL14:8件、GL15:6件、GL17:5件、GL18:4件、GL19:5件、GL20:6件、GL21:6件。なお、GL17、GL18、GL20、GL21で設定された「その他の関連トピック」などは含めていない)を使用した。
〇全体テーマ、口頭発表セッション等
“GL Program Books”. GreyNet.
http://greyguide.isti.cnr.it/index.php/greyguideportal/document-share/gl-program-books-2003,(accessed 2019-04-01).
〇会議トピックス
“Call for Papers”. Twenty-First International Conference on Grey Literature.
http://www.textrelease.com/gl21callforpapers.html, (accessed 2019-04-01).
URL内の「gl21」をgl12からgl20に変更することでGL12からGL20も参照可(accessed 2019-04-01)。

(9) GL12にてシェプフェルにより提案される。GL6のニューヨーク・ルクセンブルク定義に、灰色文献の形態の側面など4点を追加した。GL13で議論が行われたが、法制度が異なる等の理由で共通認識を得られないまま継続審議となっている。定義は灰色文献を考える上で重要な観点で、長きにわたり様々な議論がなされてきた。拙稿の「3. 灰色文献の定義とその変容」にプラハ定義までの灰色文献の定義の変遷を詳述している。
池田貴儀. インターネット時代の灰色文献.灰色文献の定義の変容とピサ宣言を中心に. 情報管理. 2015, 58(3), p.193-203.
https://doi.org/10.1241/johokanri.58.193,(参照 2019-04-12).
Schöpfel, Joachim. “Towards a Prague Definition of Grey Literature”. GL12 Conference Proceedings. Prague, Czech Republic, 2010-12-6/7, GreyNet. TextRelease, 2011, p.11-26.
http://greyguide.isti.cnr.it/attachments/category/30/GL12_Conference_Proceedings.pdf,(accessed 2019-04-24).

(10) 池田貴儀. インターネット時代の灰色文献.灰色文献の定義の変容とピサ宣言を中心に. 情報管理. 2015, 58(3), p.193-203.
https://doi.org/10.1241/johokanri.58.193,(参照 2019-04-12).

(11) 米村. 前掲.
1993年のGL1の時から既に、デジタル情報ネットワークの進展とともに灰色文献の価値が拡大し電子出版の中で重要な位置を占めつつあること、電子出版が入手困難の解決につながる可能性などが議論されている。

(12) リポジトリ自体の関心が薄れたわけではなく、利用が広がり、他のテーマの中でリポジトリの事例が報告されるようになった。2004年から2010年まで(GL6からGL8、GL10、GL11)、口頭発表等セッションテーマとして「リポジトリ」が設定された。2000年代中盤から後半が、標準化と絡めたテーマでリポジトリが灰色文献の話題の中心の一つであったことがうかがえる。
“GL Program Books”. GreyNet.
http://greyguide.isti.cnr.it/index.php/greyguideportal/document-share/gl-program-books-2003,(accessed 2019-04-01).

(13) GL17でステークホルダーと灰色資源の利用に関する調査報告がなされた。両者を効果的に結びつける目的でGreyNetもソーシャルメディアの活用に積極的に取り組み始め、LinkedIn(2011年開始)、Twitter(2013年開始)に加え、Facebook(2013年開始)のアカウントが追加された。利用者はLinkedInメンバー(2015年:600、2019年4月1日:682)、Twitterフォロワー(2015年:865、2019年4月1日:1,245)、Facebookフォロー(2015年:65、2019年4月1日:135)。2011年のGL11から口頭発表等セッションテーマ、会議トピックスでソーシャル・ネットワーキングは挙がっているが、同じ頃からステークホルダーや一般コミュニティとの関わりに関心を持ち始め、そこへアプローチする手段としてGL16、GL17頃からソーシャルメディアの活用に重きを置き始めたことがうかがえる。
GreyNet’s Stakeholder Study: Leveraging Grey Literature. GreyNet Newsletter. 2016, 8(1), p. 3.
http://www.textrelease.com/images/Newsletter_V8N1,_2016.pdf,(accessed 2019-04-01).
Farace, Dominic. “Leveraging Grey Resources: A Training Module for Intelligent Resource Assessment”.
Amsterdam, Netherlands, 2016-09-21.(GreyWorks – Summer Workshop Series on Grey Literature, 2016).
http://www.greynet.org/images/Leveraging_Grey_Resources_Slides_.pdf,(accessed 2019-04-01).
Farace, Dominic et al. “Leveraging Grey Literature – Capitalizing on Value and the Return on Investment: A Cumulative Case Study”. GL17 Proceedings. Amsterdam, Netherland, 2015-12-1/2, GreyNet. TextRelease, 2016, p. 165-173.
http://greyguide.isti.cnr.it/attachments/category/30/GL17-Conference-Proceedings.pdf,(accessed 2019-04-21).
“GreyNet’s Social Media”. GreyNet.
http://www.greynet.org/home/socialmedia.html,(accessed 2019-04-01).

(14) “Conference”. National repository of grey literature.
https://nrgl.techlib.cz/en/conference,(accessed 2019-04-01).

(15) Pejšová, Petra. “New trends in information both influence and challenge grey literature: an analysis of the evolution and development of a conference series”. GL18 Conference. NY, USA, 2016-11-28/29.
http://greyguide.isti.cnr.it/attachments/category/35/Pejsova.pdf,(accessed 2019-04-01).

(16) TextRelease/Grey Literature Network Service. GreyNet International Business Report 2019. 2019.
http://www.greynet.org/images/GreyNet_Business_Report_2019.pdf,(accessed 2019-04-01).

(17) GL会議のメタデータやフルテキストは、OpenGreyに収録されている既存のメタデータとフルテキストを、オランダのData Archiving Networked Services(DANS)リポジトリでアーカイブする研究データにリンクさせることで、コレクションの充実を図ることを目的としたプロジェクト。後に、注(19)で示すように、両方のデータベースに研究データのメタデータ(データペーパー)も収録されるようになる。
DANS.
https://easy.dans.knaw.nl/ui/home,(accessed 2019-04-01).
Farace, Dominic et al. “Linking full-text grey literature to underlying research and post-publication data: An Enhanced Publications Project 2011-2012”. GL13 Conference Proceedings, 2011-12-5/6, Washington D.C., USA, GreyNet, TextRelease, 2012, p. 143-150.
http://greyguide.isti.cnr.it/attachments/category/30/GL13_Conference_Proceedings.pdf,(accessed 2019-04-01).
また、2011年6月30日から9月5日にかけて、GL会議の会議録や雑誌The Grey Journalのファーストオーサーに対し、“GL Author Survey 2011”というオンライン調査が行われた。結果は2011年のGL13で報告された。
“Grey Literature Author Survey 2011 Enhanced Publications Project(EPP)”. GreyNet Newsletter. 2011, 3(4), p. 3.
http://www.greynet.org/images/GreyNet_Newsletter_V3N4,_2011.pdf,(accessed 2019-04-01).

(18) 灰色文献のポータル兼リポジトリ。GreyNetおよびイタリアの国立研究議会情報科学技術研究所(ISTI-CNR)により運営される。2013年12月から運用を開始した。ポータルではピサ宣言や、過去のGL会議のプログラム等への様々な情報源へのアクセス、リポジトリでは優良実践事例のアクセスができるようになっている。
GreyGuide.
http://greyguide.isti.cnr.it,( accessed 2019-04-01).
Biagioni, Stefania et al. “GreyGuide – Guide to Good Practice in Grey Literature: A Community Driven Open Resource Project”. GL15 Conference Proceedings. Bratislava, Slovak Republic, 2013-12-2/3, GreyNet. TextRelease, 2014, p. 58-62.
http://greyguide.isti.cnr.it/attachments/category/30/GL15_Conference_Proceedings.pdf,(accessed 2019-04-01).
Farace, Dominic et al. “GreyGuide, GreyNet’s Web Access Portal and Lobby for Change in Grey Literature”. GL16 Conference Proceedings, Washington D.C., 2014-12-8/9, GretNet. TextRelease, 2014, p.147-153.
http://greyguide.isti.cnr.it/attachments/category/30/GL16_Conference_Proceedings.pdf,(accessed 2019-04-01).

(19) データペーパーは、研究データの活用促進のために、データの概要(Overview)、手法(Methods)、データセットの説明(Dataset Description)、再利用の可能性(Potential Reuse)、レファレンス(References)の5項目のメタデータを記述したものである。OpenGreyには著者がテンプレートに基づいて作成したPDFが、DANSには5項目がテキスト形式で掲載される。
“DATA PAPER TEMPLATE”.GreyNet.
http://www.greynet.org/images/Data_Paper_Template,_Version_1.1.pdf,(accessed 2019-04-01).
Farace, Dominic et al. “Data Papers are Witness to Trusted Resources in Grey Literature”. GL19 Conference proceedings. Rome, Italy, GreyNet. TextRelease, 2017-10-23/24, 2018, p. 27-32.
http://greyguide.isti.cnr.it/attachments/category/30/GL19_Conference_Proceedings.pdf,(accessed 2019-04-01).
Farace, Dominic et al. “Data Papers are Witness to Trusted Resources in Grey Literature: Driving Access to Data thru Public Awareness”. Nineteenth International Conference on Grey Literature. Rome, Italy, 2017-10-23/24.
http://greyguide.isti.cnr.it/attachments/category/34/Farace_Frantzen_Smith.pdf,(accessed 2019-04-01).
Dominic Farace et al. “Open Data engages Citation and Reuse: A Follow-up Study on Enhanced Publication”. GL20 Conference Proceedings. LA, USA, GreyNet. TextRelease, 2018-12-3/4, 2019, p. 117-122.
http://greyguide.isti.cnr.it/attachments/category/30/GL20_Conference_Proceedings.pdf,(accessed 2019-04-21).

(20) オンライン調査は2016年4月から7月にかけて実施された。署名した133人に調査依頼が届き、回答率は45%(60人)。15.(84%)、8.(約75%)、2.(約67%)の順で、また、1.「オープンアクセス推進」や、7.「優良実践事例集の作成」も60%を超えている。
Savić, Dobrica. “Policy Development for Grey Literature Resources: An Assessment of the Pisa Declaration”. GL18 Conference proceedings. NY, USA, GreyNet. TextRelease, 2016-11-28/29, 2017, p. 97-108.
http://greyguide.isti.cnr.it/attachments/category/30/GL18_Conference_Proceedings.pdf,(accessed 2019-04-21).

(21) 全体テーマ「公衆の意識と灰色文献へのアクセス(Publica Awareness and Access to Grey Literature)」、口頭発表等セッションテーマ「幅広い聴衆へ灰色文献を顕在化させていく(Exposing Grey Literature to Wider Audiences)」や「灰色文献の新たな技術とソーシャルメディアの影響(Impact of Emerging Technologies & Social Media on Grey Literature)」「研究データを活用した灰色文献の革新(Innovations in Grey Literature Powered by Research Data)」と関連し、「灰色文献のアクセス障害(Overcoming Obstacles in Accessing Grey Literature)」も14.の「リンク切れや恒久的なアクセスの保証」と関連しており、ピサ宣言の調査結果が大きく影響していることがうかがえる。
“GL Program Books”. GreyNet.
http://greyguide.isti.cnr.it/index.php/greyguideportal/document-share/gl-program-books-2003,(accessed 2019-04-01).

(22) 灰色文献資源の政策策定に関するピサ宣言”. 池田貴儀訳. GreyGuide. 2014-05-16.
http://greyguiderep.isti.cnr.it/Pisadeclapdf/Japanese-Pisa-Declaration.pdf,(参照 2019-04-01)
“Pisa Declaration”. GreyGide.
http://greyguide.isti.cnr.it/index.php/greyguideportal/pisadeclaration/pisa-declaration-22-language,(accessed 2019-04-25)
“List of Endorsements”. GreyGuide.
http://greyguiderep.isti.cnr.it/pisadecla/listaiscritti.php?order=name,(accessed 2019-04-25).

(23) Schöpfel, Joachim et al. “D4Humanities: Deposit of Dissertation Data in Social Sciences & Humanities – A Project in Digital Humanities”. GL19 Conference proceedings. Rome, Italy, GreyNet. TextRelease, 2017-10-23/24, 2018, p. 121-126.
http://greyguide.isti.cnr.it/attachments/category/30/GL19_Conference_Proceedings.pdf,(accessed 2019-04-22).

(24) 特にテキストとデータが統合された状態のPDFは不適切なフォーマットで、データは適切なフォーマット(テキスト、音声、画像等)ごとに保存、公開される必要がある。
Schöpfel, Joachim et al. “keynote address: Dissertations and Data”. GL17 Conference Proceedings. Amsterdam, Netherlands, 2015-12-1/2, GreyNet. TextRelease, 2016, p. 15-38.
http://greyguide.isti.cnr.it/attachments/category/30/GL17_Conference_Proceedings.pdf,(accessed 2019-04-21).

(25) Schöpfel, Joachim et al. Are electronic theses and dissertations(still) grey literature in the digital age? a FAIR debate. The Electronic Library. 2018, 36(2), p. 208-219.

(26) 池田貴儀. インターネット時代の灰色文献:灰色文献の定義の変容とピサ宣言を中心に. 情報管理. 2015. 58(3), p.193-203.
https://doi.org/10.1241/johokanri.58.193,(参照 2019-04-12).

(27) 岡村光章. インターネット普及下における灰色文献の再定義と今後の課題. 立正大学図書館司書課程年報. 2017.(3),p. 28-38.
岡村は、インターネット普及下における灰色文献の定義を比較・分析する中で「灰色文献とは、紙の出版物の流通経路からの発想であり、情報の生成・流通の過程において、デジタルコンテンツが紙の出版物を凌駕する状況が通常化した世界では、歴史用語あるいは死語と化すかもしれない」(p.35)と指摘し、灰色文献の問題の所在が変化してきていること、デジテルコンテンツへのアクセシビリティと保存が課題であることを述べている。

(28) 小原. 前掲.

(29) 池田貴儀. 特集, 灰色文献:問題提起:灰色文献定義の再考. 情報の科学と技術. 2012, 62(2), p. 50-54.
https://doi.org/10.18919/jkg.62.2_50,(参照 2019-04-12).

(30) 池田貴儀. 灰色文献をめぐる動向:灰色文献国際会議の議論を中心に. 情報管理. 2010, 53(8), p. 428-440.
https://doi.org/10.1241/johokanri.53.428,(参照 2019-04-12).

(31) ピサ宣言前文に「膨大な知識と情報は,幅広い主題領域と専門分野の組織,政府および産業界において生み出されるが,商業出版のような流通ルートには乗らない。これらの出版物,データおよび資料は灰色文献と呼ばれ」と明記されている。
“灰色文献資源の政策策定に関するピサ宣言”. 池田貴儀訳. GreyGuide. 2014-05-16.
http://greyguiderep.isti.cnr.it/Pisadeclapdf/Japanese-Pisa-Declaration.pdf,(参照2019-04-01).

(32) Drees B. et al. “Video is the new Grey”. GL19 Conference Proceedings. Rome, Italy, 2017-10-23/24. GreyNet. TextRelease, 2018, p. 127-131.
http://greyguide.isti.cnr.it/attachments/category/30/GL19_Conference_Proceedings.pdf,(accessed 2019-04-22).

(33) Ibid.
会議報告は研究の現状を記録した、重要な情報源で、会議の講演を記録して公開することは一般的になりつつある。動画制作と公開で最も重要な側面は、迅速さ、費用対効果の高さ、手順の簡単さである。

(34) Ibid.
動画の公開には、独自の会議ウェブサイトやYouTubeが使用されることが多いが、メタデータやDOIなどの永続的な識別子はほとんど使用されていない。

(35) 報告を行ったドイツ国立科学技術図書館(TIB)は、GL17から自機関が提供する視聴覚資料や3Dオブジェクト、ソフトウェアコードを保存・公開するポータルサイト“TIB AV-Portal”を例に、メタデータの欠如や長期保存の問題、Linked Open Data(LOD)の活用について取り組んでいる。“TIB AVPortal”は、ビデオのデジタル保存を保証し、永続的な識別子を使用しており、GL20の発表も記録として保存、公開されている。なおGL19のパロマ(Paloma)による報告はベストポスターに選ばれている。
Plank, Margret et al. Move beyond text: How TIB manages the digital assets researchers generate. GL17 Conference Proceedings. Amsterdam, etherlands, 2015-12-1/2, GreyNet. TextRelease, 2016, p. 39-43.
http://greyguide.isti.cnr.it/attachments/category/30/GL17_Conference_Proceedings.pdf,(accessed 2019-04-21).
Paloma, Marín Arraiza. Scientific Audiovisual Materials And Linked Open Data: The TIB Perspective. Seventeenth International Conference on Grey Literature. The Grey Journal. 2016, 12(1), p. 10-14.

(36) Savić, Dobrica. When is ‘grey’ too ‘grey’? A case of grey data. GL 20 Conference Proceedings. LA, USA, GreyNet. TextRelease, 2018-12-3/4, 2019, p. 19-24.
http://greyguide.isti.cnr.it/attachments/category/30/GL20_Conference_Proceedings.pdf,(accessed 2019-04-21)

(37) “灰色文献”. 図書館用語辞典編集委員会編. 最新図書館用語大辞典. 柏書房,2004,p. 456-457.

(38) DI CESARE, Rosa. “The use of grey literature in the agricultural economics field : a quantitative analysis”. GL’95 Conference Proceedings. Washington D.C., USA, 1995-11-2/3, 1996, p. 157-168.
http://hdl.handle.net/10068/698018,(accessed 2019-04-24).

(39) 池田貴儀. 特集, 灰色文献:問題提起:灰色文献定義の再考. 情報の科学と技術. 2012, 62(2), p.50-54.
https://doi.org/10.18919/jkg.62.2_50,(参照 2019-04-12).

(40) 前掲.

(41) NATARAJAN M. Grey literature: problems and prospects for collection development in e-environment. The Grey Journal. 2006, 2(2), p. 100-105.

(42) Schöpfel, Joachim et al. “Altmetrics and Grey Literature: Perspectives and Challenges”. GL18 Conference proceedings. NY, USA, GreyNet. TextRelease, 2016-11-28/29, 2017, p. 131-149.
http://greyguide.isti.cnr.it/attachments/category/30/GL18_Conference_Proceedings.pdf,(accessed 2019-04-21).

(43) Giannini, Silvia et al. “The data librarian: myth, reality or utopia?”. GL20 Proceedings. LA, USA, GreyNet. TextRelease, 2018-12-3/4, 2019, p. 51-66.
http://greyguide.isti.cnr.it/attachments/category/30/GL20_Conference_Proceedings.pdf,(accessed 2019-04-21).

(44) Li, Yuan et al. “Research Data Management: What can librarians really help?”. GL20 Proceedings. LA, USA, GreyNet. TextRelease, 2018-12-3/4, 2019, p. 67-74.
http://greyguide.isti.cnr.it/attachments/category/30/GL20_Conference_Proceedings.pdf,(accessed 2019-04-21).

(45) Schmidt, Birgit et al. Librarians’ Competencies Profile for Research Data Management. Joint Task Force on Librarians’ Competencies in Support of E-Research and Scholarly Communication. 2016-06.
https://www.coar-repositories.org/files/Competencies-forRDM_June-2016.pdf,(accessed 2019-04-01).

[受理:2019-05-15]

 


池田貴儀. 灰色文献のいま~2010年代の動向を中心に~. カレントアウェアネス. 2019, (340), CA1952, p. 15-19.
http://current.ndl.go.jp/ca1952
DOI:
https://doi.org/10.11501/11299456

Ikeda Kiyoshi
Current Situation of Grey Literature in the 2010s:Focusing on the International Conference on Grey Literature and GreyNet