2022年3月9日、フランスの国民教育・青少年・スポーツ省が、図書館での貴重資料保存に関する緊急時の計画についての調査報告書“Les plans d’urgence dans les bibliothèques patrimoniales françaises”を発表しました。
重要な遺産の保存機関に分類されている市立図書館やコミューン連合の図書館54館を対象に、高等教育・研究・イノベーション省（MESRI）の「教育・スポーツ・研究監督官」（IGÉSR）が実施した調査の結果に基づいた報告書です。調査は、IGÉSRの2020-2021年度業務計画の一事業として行われました。
報告書には、同54館に国内の25.75％に当たる770万の貴重資料が保存されていること、貴重コレクションの多様性や紙の脆弱性をはじめとした現状がまとめられています。加えて、調査結果として、2003年から2021年の間に61％が被災したこと、貴重コレクションに関する緊急時計画の重要性を多くの館が認識している一方、4分の3以上が策定していないこと、人員や設備の状況、研修・教育の事例について等が述べられています。また、法規制、国家アクションプラン、自治体レベルの取組に関する推奨事項を示しています。
Recherche（Ministère de l’Éducation nationale, de la Jeunesse et des Sports）
https://www.education.gouv.fr/recherche/type/rapportpublication
※2022年3月9日付で、“LES PLANS D’URGENCE DANS LES BIBLIOTHÈQUES PATRIMONIALES FRANÇAISES”が掲載されています。
Les plans d’urgence dans les bibliothèques patrimoniales françaises（Ministère de l’Éducation nationale, de la Jeunesse et des Sports）
https://www.education.gouv.fr/les-plans-d-urgence-dans-les-bibliotheques-patrimoniales-francaises-340613
参考：
CA1680 – 研究文献レビュー：図書館における紙資料の実物保存 / 吉川也志保
カレントアウェアネス No.298 2008年12月20日
https://current.ndl.go.jp/ca1680
