研究機関におけるオープンアクセス方針の影響の評価(文献紹介)

2020年9月14日、eLife誌によって”Meta-Research: Evaluating the impact of open access policies on research institutions”と題する論文が公開されました。

Web of Science、Microsoft Academic、Scopusより世界の各大学の論文を特定し、それらの論文のメタデータをCrossref、オープンアクセス (OA)状況をUnpaywallより取得することによって、各大学のOA状況の調査を実施しています。

地域別にみると、ラテンアメリカ、アフリカの大学ではゴールドOA、欧州、北米の大学ではリポジトリによるOAの割合が高い傾向があることを示しています。アジアは大学によって大きな差があるとしています。

英国、オランダの事例に基づいて、OAに関する方針や政策がOA状況に与えた影響を分析しています。英国では、Research Councils UKが2012年に開始したOA出版のための助成によってゴールドOAが増加していることを示し、助成額が少なくなった2015年にはゴールドOAの割合が減少していることを示しています。また、2015年にはUK Research Excellence Framework(REF)による評価に含まれるために、リポジトリへの研究成果の登録が大幅に伸びたことを報告しています。オランダでは、2015年にSpringer、2016年にWileyと締結されたハイブリッド誌に関する契約(追加費用なしにハイブリッド誌でのOAが可能となる)によって、ハイブリッドOAの割合が飛躍的に増加したと述べています。

OAには多くの実現手法が存在し、コンテキストによって適切な実現手法は異なるとしています。今後さらに詳細な調査が必要であるとし、この論文で示した調査手法がその礎になることを願っているとしています。

Huang, Chun-Kai; Neylon, Cameron; Hosking, Richard; Montgomery, Lucy; Wilson, Katie S.; Ozaygen, Alkim; Brookes-Kenworthy, Chloe. Meta-Research: Evaluating the impact of open access policies on research institutions. eLife 2020;9:e57067.
https://doi.org/10.7554/eLife.57067