ボランティアによる航海記録の解読を基に、過去の気候状態の解明を目指す“Old Weather”プロジェクト

2010年10月12日、オクスフォード大学や英国情報システム合同委員会(JISC)、“International Atmospheric Circulation Reconstructions over the Earth”等が、“Old Weather”というプロジェクトを発表しました。これは、第一次世界大戦期の英国海軍の航海記録をもとに、当時の気候状況を探るものです。ただ、航海記録が手書き史料で機械での判読が困難であるため、プロジェクトでは、航海記録を解読とデータ作成を行うボランティアの参加を広く求めているようです。参加したボランティアは、1905年から1929年までの280艦の記録を解読し、その航行ルートをOld Weatherのウェブサイト内に記録するようです。そして、作成されたデータをもとに気候学者や歴史研究者が研究を行うとのことです。このプロジェクトについて、JISCのプロジェクトマネージャーの“Alastair Dunning”氏は、「複雑な科学の問題の解明は、これまで大学キャンパス内の研究所に限られていた。しかし、Old Weatherのようなウェブサイトを使えば、一般の人も気候変動の背後にある原因を実証するデータを明らかにするという重要な役割を担うことができる。Old Weatherは、現代が抱える科学の大きな問題に一般の人々を巻き込むという、今回のプロジェクトと同じようなサイバーサイエンスプロジェクトの全体を刺激するものとなりうる」とコメントしています。

Old Weather
http://www.oldweather.org/

World War One ships chart past climate (2010/10/12付け JISCのニュース)
http://www.jisc.ac.uk/news/stories/2010/10/weather.aspx

WWI ships chart past climate (2010/10/12付け University of Oxfordのプレスリリース)
http://www.ox.ac.uk/media/news_stories/2010/101012.html

Climate researchers to study WW1 warship voyages (2010/10/12付け Reutersの記事)
http://www.reuters.com/article/idUSTRE69B2TI20101012