カレントアウェアネス-E
No.131 2008.07.09
E806
青少年の安全なネット利用環境整備などに関する法律が成立
2008年6月11日,参議院本会議において「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」が賛成多数で可決され,成立した。2008年6月18日に公布され(平成20年法律第79号),公布の日から1年を超えない範囲内において,政令で定める日から施行される(2008年7月4日現在,未施行)。
本法律は,「インターネット上において青少年有害情報が多く流通している」(第1条)という現状認識から,(1)青少年のインターネットの適切な活用能力の習得に必要な措置の実施,(2)フィルタリングソフトの性能向上,利用普及など,「青少年有害情報を閲覧する機会をできるだけ少なくする」(第1条)ための措置の実施を通じて,「青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにして,青少年の権利の擁護に資することを目的」(第1条)としている。なお「青少年」とは「18歳に満たない者」(第2条1項)と定義されている。
具体的な施策として,「青少年有害情報」の定義(第2条3項)と例示(第2条4項),基本理念(第3条),内閣府による「インターネット青少年有害情報対策・環境整備推進会議」の設置(第8条1項)と同会議による「安全に安心してインターネットを利用できるようにするための施策に関する基本的な計画」の策定(第12条1項),インターネット利用環境整備の推進についての「民間における自主的かつ主体的な取組」の尊重規定(第3条3項),青少年による携帯電話を通じたインターネット利用に対する「青少年有害情報フィルタリングサービス」の提供義務(第17条1項),およびパソコンなど「インターネットと接続する機能を有する機器」へのフィルタリングソフト(またはフィルタリングサービス)の「利用を容易にする措置を」行い販売する義務(第19条),「フィルタリング推進機関」(第24条~29条)やフィルタリングソフト・サービスの開発・提供などを行う事業者(第30条3項)など,民間団体に対する国や地方公共団体による「必要な支援」の努力規定(第30条)などが盛り込まれている。
なお本法律の附則には施行後3年以内に,施行の状況について検討を加え,その結果に基づき「必要な措置を講ずるもの」(附則第3条)とされている。
Ref:
http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g16901030.htm
http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/keika/1DA43C6.htm
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/gian/16905169030.htm