E802 - Encyclopaedia Britannica,オンライン版で集合知の活用へ

カレントアウェアネス-E

No.130 2008.06.25

 

 E802

Encyclopaedia Britannica,オンライン版で集合知の活用へ

 

 “Encyclopaedia Britannica”のオンライン版“Britannica Online”(CA1022参照)がリニューアルされる予定であり,現在その試行版が公開されている。リニューアル後のBritannica Onlineの最大の特徴は,Encyclopaedia Britannicaの編集者以外の専門家や,ウェブサイトの利用者が,記事の編集や執筆に参加できる取り組みが始まる点である。

 研究者のコミュニティはこれまでもEncyclopaedia Britannicaの高い品質を支えてきたが,投稿への報奨システムが新しく整備されることにより,より活発な投稿が期待されている。この報奨システムとは,協力した研究者がBritannica Online内にマイページを開設でき,自分のこれまでの研究や作品を公開して,自身のプロモーション活動を行ったり,世界中の研究者と交流したりできる仕組みであるという。こうした取り組みを通じ,研究者コミュニティの協力をこれまで以上に引き出し,より効率的なやり方で,事典 の編集者と研究者がコミュニケーションし,コンテンツの変更・追加を助言してもらうことが可能になるという。

 また一般の利用者も,Britannica Onlineのコミュニティに参加でき,自分の署名記事をBritannica Onlineに掲載することができる。特定の主題に関心のある利用者は,その主題についての記事やエッセイ,画像,動画などを作成・投稿することができ,それらは,作成者の責任のもと,署名入りで公表されるという。しかしこれらの利用者作成のコンテンツは,Encyclopaedia Britannica自体と平行して公開されるものであり,事典のコンテンツは従来どおり,非常に厳しい基準に基づく編集作業を経る。ただし研究者や利用者が提供した情報が,Encyclopaedia Britannicaのコンテンツとしても有用であると判断される場合は,精査の上採用される可能性があり,その場合,百科事典に寄稿者の氏名が掲載される。

 こうした集合知を利用した百科事典の例としては,ウィキペディア(CA1510参照)などがあるが,Encyclopaedia Britannica社によると,Britannica Onlineには既存の取り組みにはない2つの強みがあるという。それは,(1)これまでEncyclopaedia Britannica社が関係を築き上げてきた,専門家の寄稿者が積極的に参加すること,(2)Encyclopaedia Britannicaに掲載される寄稿については全て,従来のものと同様,出版前に専門家から成る編集スタッフが精査すること,である。こうしたことを通じ, Encyclopaedia Britannicaが自負してきたコンテンツの信頼性の高さを担保しながら,集合知の活用を図ろうというのが,Britannica Onlineのねらいのようである。

 なお,リニューアル版のBritannica Onlineは,試行を経て,2008年6月半ばから7月に公開される予定である。

Ref:
http://britannicanet.com/?p=86
http://britannicanet.com/?p=88
http://www.britannica.com/bps/home
CA1022
CA1510