カレントアウェアネス-E
No.129 2008.06.11
E797
国内全館種対象の図書館発展総合計画(案)を発表(韓国)
2008年5月,韓国の図書館情報政策委員会(CA1635,E746,E760参照)が,2009~2013年の国家レベルの図書館振興のビジョンと戦略を示す「図書館発展総合計画(案)」を策定し,公聴会を行って一般公開した。
図書館発展総合計画は,2007年4月5日に施行された図書館法第14条で,図書館発展のために5年毎に策定・施行されるものとされている。またこの計画に基づき,第15条では中央行政機関の長と特別市・広域市の市長,道知事に対し,毎年,年度別の実施計画を策定することを求めている。図書館法および同法施行令に基づく法定の計画であること,全館種を対象として図書館政策の目標と方法を提示していること,各行政機関・地方自治体の館種別/年度別の計画が準拠すべき指針であること,が特徴的である。
計画(案)は,第1章「概要」,第2章「過去の計画の成果と限界」,第3章「環境の変化と対応」,第4章「計画のビジョンおよび目標」,第5章「図書館の政策課題」,第6章「政策課題の推進日程および所管部署」からなる。第2章では,図書館の施設数・蔵書数・職員数といった図書館インフラ,図書館振興に係る法・制度の整備,デジタルコンテンツの整備,図書館ネットワークの構築,「情報疎外」階層へのサービス,図書館間協力体制,図書館に関する民間とのパートナーシップの各々について,これまでの成果をレビューし,今後さらに改善・発展が必要な事項を列挙している。第3章では,知識情報社会における基盤・情報ハブとして図書館に求められる役割,デジタル情報技術の発達に伴う図書館サービスの変化とデジタルデバイドの拡大について考察するとともに,国際図書館連盟(IFLA)や米国・英国・欧州連合・シンガポール・日本といった海外の知識情報政策・図書館政策の動向を紹介している。
そして第4章で,「先進一流国家を先導する図書館」というビジョンと,(1)図書館サービスの先進化による国民の生活の質の向上,(2)図書館・情報インフラの高度化による国家知識経済力の強化,(3)ユビキタス環境による未来型図書館の具現という3つの目標を示し,続く第5章で,これらのビジョン・目標を推進するべく,現状の分析をもとに以下の8つの戦略を具体的に示している。
- 図書館へのアクセス性の向上およびサービス環境の改善
- クリエイティブな人材を養成するための図書館の役割の強化
- 知識情報格差の解消による社会統合への寄与
- 国家知識情報の活用のための国家図書館体系の再確立
- 教育・学術・研究を支援するコアセンターとしての大学・専門図書館の振興
- 図書館職員の専門化および関連制度の先進化
- 知識情報の拡散および共有のためのU-Libraryの具現
- 図書館協力基盤の強化によるグローバル図書館情報サービスの具現
最後の第6章では,各々の戦略をいつ,どの部署(国会および文化体育観光部,教育科学技術部,行政安全部といった中央行政機関)が担当するのかが明示されている。
図書館情報政策委員会によれば,この計画案を6~7月に確定させ,11~12月には各行政機関・地方自治体の2009年度実施計画を取りまとめて発表する予定とされている。
Ref:
http://www.mct.go.kr/web/deptCourt/dept/library/libMinWeb/notifyCourt/notice/noticeView.jsp?pMenuCD=5004030000&pSeq=57
http://www.mct.go.kr/web/deptCourt/dept/library/libMinWeb/notifyCourt/notice/noticeView.jsp?pMenuCD=5004030000&pSeq=56
http://www.mct.go.kr/web/deptCourt/dept/library/libMinWeb/policy/compPlan.jsp
http://www.korla.or.kr/community/notice/view.asp?pkid=1031&BBSCode=N0013
http://www.mct.go.kr/lib.htm
CA1635
E746
E760