カレントアウェアネス-E
No.98 2007.01.17
E590
英国図書館,出版社向けに雑誌の遡及デジタル化サービスを開始
近年,学術系出版社を中心に,雑誌のバックナンバーを遡及的にデジタル化して,オンラインで提供するという動きが広まっている。しかし,多くの出版社にとっては,デジタル化対象のバックナンバーを入手することが最初の大きな難関となってしまっている。休廃刊した雑誌はもとより,刊行中の雑誌についても,バックナンバーを完全に保管している出版社は多くはない。
このような出版社を支援するため,英国図書館(BL)は2007年1月3日,所蔵する雑誌のバックナンバーを館内でスキャニングし出版社に送付する“Publisher Digitisation Service”を開始すると発表した。
このサービスを利用する出版社の一つに,SAGE社の名が挙がっている。SAGE社は,2006年1月からバックナンバーのデジタル化プロジェクトを独自に開始していた。当初の見積もりでは,およそ2万冊,合計200万ページがデジタル化対象であり,これを1年でデジタル化する予定であった。ところが,雑誌の刊行を他から引き継いだりするなどして,プロジェクトが進むにつれて対象が増えていき,280万ページを超えるに至った。そして結局のところ,SAGE社が持っていたスキャン可能な資料は,全体の4分の1にも達していなかった。そこで,このBLの新サービスを利用することにしたという。
SAGE社は,サービスの便利さに加え,BLのスタッフの雰囲気・責任感・手際の良さ・専門技術の高さや,デジタル画像の品質の高さも評価している。BLのフレガー(Mat Pfleger)セールス・マーケティング部長は,このサービスは「出版社のデジタル化プログラムには付き物の,時間・コスト・悩みを削減できる」ものである,と語っている。
Ref:
http://www.bl.uk/news/2007/pressrelease20070103.html
http://www.sagepub.com/repository/binaries/press/SageAnnouncesBackfileDigitization.pdf