カレントアウェアネス-E
No.87 2006.07.19
E517
図書館界への影響は?−「公共サービス改革基本方針」作成に向けた意見募集
世間から非効率,高コストの横綱格としてゆるぎない評価を頂戴している公共サービスであるが,簡素で効率的な政府の実現が至上命題となっている今日,民間事業者によって適切なサービスを提供できるのであれば,そのような事業は積極的に民間事業者に開放し,公共サービスの質の向上と経費の削減を図ることが強く求められている。こうしたなか,「競争の導入による公共サービスの改革に関する法律」,いわゆる「公共サービス改革法」(平成18年法律第51号)が2006年7月7日に施行された。
本法律は,受益者である国民の立場に立って公共サービスの見直しを行い,民間事業者の創意と工夫を適切に反映させることにより,良質かつ低廉な公共サービスを実現するという基本理念を謳う(第3条)とともに,「公共サービス改革基本方針」の策定(第7条),官民競争入札(いわゆる「市場化テスト」;E458参照)・民間競争入札の実施に当たっての規定(第3章),民間事業者が落札した場合の措置(第4章)などを定めている。「公共サービス改革基本方針」には,公共サービス改革の意義及び目標,政府が実施すべき施策に関する基本的な方針,官民競争入札や民間競争入札の対象として選定する公共サービスの内容及びこれに伴い政府が講ずべき措置などを示すことが定められているが,この度その基本方針の案が内閣府のウェブサイトにて公表され,同案に対する意見の受付が始められた。また,同案を審査する際に必要な行政情報の公開要請も受け付けるとしている。
基本方針では,官民競争入札の対象と想定されている事業として国民年金保険料収納事業,ハローワーク関連業務,統計調査関連業務,独立行政法人で行う一部の事業があげられている。ここでは図書館の業務に関する記述は見られないが,PFI,外部委託,指定管理者制度の導入が進められている(CA1589参照)。図書館業務についても本法律が運用されるのか,今後の動向が大いに注目される。
Ref:
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=Pcm1010&BID=095060400&OBJCD=100095&GROUP=
http://www5.cao.go.jp/koukyo/index.html
CA1589
E458