カレントアウェアネス-E
No.86 2006.07.05
E511
公共図書館は絶対必要,サービスはなお改善が必要−米国の意識調査から
米国の調査団体Public Agendaが「図書館のための米国人協会」(ALC)及びビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団の支援を受けて行った調査の結果が,報告書“Long Overdue: A Fresh Look at Public Attitudes About Libraries in the 21st Century” として発表された。
これによると,調査回答者の約8割は公共図書館を地域にとって不可欠かつ重要な施設と位置づけている。最近相次いでいる図書館の運営予算不足に関しては,サービスの縮小で乗り切るべきと答えた人は16%にとどまり,多くの人は運営予算に当てるための増税を支持するという意外な傾向が表れているほか,図書館はその重要性をもっと政治の場に向けてアピールすべきという意見も見られた。その一方で,開館時間,目録・データベースのオンライン提供,子どもの読書や宿題の支援など公共図書館に強く求められているサービスについてはまだまだ十分に提供されているとはいえず,今後改善の余地があるとも指摘している。また,報告書では,今後図書館に必要とされるサービスとして,10代の若者向けのサービスの拡大,成人に対するリテラシー教育,政府資料へのアクセスの強化,オンラインサービスを提供する環境の整備の4項目を挙げている。
なお,この調査では,調査回答者のうち毎回選挙に行っていると回答した人を“Community Soldiers”(図書館に大きな影響を与える利用者層を指す)と位置づけており,根拠はややあいまいではあるものの,これらの人々が全体平均よりも強く図書館を支持していることから,こういった人々なくしては図書館は戦えないと結論付けている。
Ref:
http://www.publicagenda.org/research/pdfs/long_overdue.pdf
http://www.publicagenda.org/press/press_release_detail.cfm?list=72
http://www.libraryjournal.com/article/CA6343131.html