E474 – 英国図書館(BL)の盗難・紛失資料

カレントアウェアネス-E

No.81 2006.04.26

 

 E474

英国図書館(BL)の盗難・紛失資料

 

 英ガーディアン紙によると英国図書館(BL)はこのほど,2001年以降の紛失・盗難資料の概要を,2005年1月に施行された情報公開法(Freedom of Information Act ; E289参照)に基づく情報公開請求に応じて公表した。

 盗難資料は金額にして10万ポンド(約2,080万円)に及ぶ。この中には,サッカーチーム,マンチェスター・シティーに関する1905年以降の試合のプログラム,レッド・ツェッペリンのCDやローリング・ストーンズのレコード,貴重な古地図や,古い本の挿絵が含まれる。特にプロの窃盗犯は,貴重書の挿絵や古地図を標的に選んでおり,鋭利な刃物を館内に持ち込み,切り取って盗み出すので,甚大な被害が発生しているという。

 排架間違いなどの紛失資料は2,216点で,全蔵書の0.0015パーセントに相当する。この中にはシェークスピアの戯曲も4点含まれている。またこの統計とは別に,多数の未返却資料が存在するが,罰金の支払いを示唆した督促状を送付すると,大半は返却されるということである。  

 BLの広報担当者によると,入館には事前申請が必要で,調査概要と居住地を証明する書類を提出させているという。しかも入館後はカメラによる監視下に置かれ,指定されたプラスティック・バッグに携行物を入れなければならない。さらに貴重書は監視のもとでしか閲覧が許されず,一部は原本ではなくファクシミリ版でのみ閲覧を認めるなど,盗難や紛失への対応策はとられているという。だがすべての本にセキュリティ・タグをつけるなどの対策は,時間とコストがあまりにかかり過ぎるために考えられない,としている

Ref:
http://books.guardian.co.uk/comment/story/0,,1746542,00.html
E289