E444 – デジタル時代における図書館の変革 <NDLシンポジウム報告>

カレントアウェアネス-E

No.76 2006.02.01

 

 E444

デジタル時代における図書館の変革 <NDLシンポジウム報告>

 

 圧倒的な勢いで進む情報のデジタル化の中で,図書館はどのような展望を描けるのだろうか? 1月26日,こうしたテーマを話し合う公開シンポジウム「デジタル時代における図書館の変革−課題と展望−」が国立国会図書館(NDL)東京本館で開催された。

 最初に,ユネスコ情報社会部プログラムスペシャリストのアビド氏から,知識社会の共通基盤をどのように保障するかについての国連やユネスコの取り組み(E410E137参照)が報告された。次に,松村多美子図書館情報大学名誉教授が,デジタル情報という競争市場の中で,社会的存在としての図書館がいかに適応しようとしているのかを端的に紹介された。英国図書館(BL)のブリンドリー館長からは,デジタル環境と利用者ニーズの変化に対応していこうとするBLの戦略(E349参照)について詳しい解説があった。NDLからは,電子図書館事業,特にデジタルアーカイブポータルについて報告を行った。

 多彩な顔ぶれが揃ったパネルディスカッションでは,各パネリストからこれからの図書館の課題が提起され,白熱した議論となった。多様な論点が提示された講演・討論であったが,共通して「図書館はこういうことができるという社会的なアピール」,「図書館以外の社会とのコラボレーション」,「閉鎖的な環境の打破」,「利用者の情報行動についてのさらなる理解」,「全ての図書館に当てはまるシナリオはない」といった点に言及された。(報告:図書館協力課 筑木一郎)

Ref:
http://www.ndl.go.jp/jp/sym/index.html
http://www.dap.ndl.go.jp/home/
E410
E137
E349