E2901 – IFLA視聴覚資料ガイドラインの改訂

カレントアウェアネス-E

No.527 2026.07.23

 

 E2901

IFLA視聴覚資料ガイドラインの改訂

国立国会図書館利用者サービス部音楽映像資料課・角田昌太郎(かくたしょうたろう)

 

  2026年3月、国際図書館連盟(IFLA)の視聴覚・マルチメディア分科会(Audiovisual and Multimedia Section)は、図書館等の機関に向けた、視聴覚資料についてのガイドラインの改訂版(以下「2026年改訂版」)を公開した。

  本稿では、このガイドラインの概要や、改訂の経緯、旧版からの主な変更点などについて紹介する。

●概要

  このガイドラインは、規模や種類を問わずあらゆる図書館や関連機関に適用可能な、視聴覚資料及びマルチメディア資料についての原則をまとめた文書である。より具体的には、公共図書館、国立図書館、政府図書館、大学図書館、専門図書館、また、アーカイブズやメディアセンター、その他視聴覚資料へのアクセスを提供するあらゆる機関とその職員を対象に、視聴覚資料及びマルチメディア資料のコレクションの管理運営について検討すべき課題と推奨される対応の方向性を示し、各トピックについてより詳細に知るための関連文書を挙げている。

  なお、この文書において、「視聴覚資料」とは音声/映像を通じて情報を伝える記録資料を、「マルチメディア資料」とは音声、動画、静止画、テキスト、アニメーション、インタラクティブな要素のうち2つ以上を統合した資料を指す。

  ガイドラインは視聴覚資料及びマルチメディア資料について、テキストとは異なる形で情報へのアクセスを提供する資料としてその重要性を説いている。

●改訂の経緯

  今回の2026年改訂版は、2つの旧版を基に更新を行っている。1つは正式な手続を経て公表された2004年版、もう1つは2017年に草案として公表されたものの、正式なレビューに付されなかったバージョンである。2004年版は、2017年に新たな草案が公表された際に廃止されたため、以降、正式な手続を経たガイドラインを参照できない状態が続いていた。

  IFLAの視聴覚・マルチメディア分科会メンバーは、2019年に改訂作業を開始し、2025年4月に草案を完成させた。草案は同年4~5月にオンライン上の公開レビューに付され、続いて7~8月に専門家コミュニティのレビューに付された。9月には最終版が分科会の上位の専門委員会へと提出され、正式に承認された。

  今後は、5年ごとにガイドライン更新のための見直しが行われることとなっている。

●背景

  改訂においては、近年の技術的な進歩など、資料やその利用に係る状況の変化が加味されている。2004年版と2017年草案では、主に物理的なメディアに焦点が当てられていたが、2026年改訂版はストリーミングなど、オンラインを含むデジタル形式での視聴覚コンテンツへのアクセスが重要性を増していることを踏まえた内容になっている。

  そのほか新たに考慮された事項は、以下で見るとおり、2026年改訂版の章立てに反映されている。

●構成と主な変更点

  各章は、第1章の序論と第10章の参照文献を除き、8つの個別の領域を扱っている。すなわち「リテラシー」、「専門性の育成」、「アクセス(アクセシビリティを含む)」、「コレクションの構築と管理」、「目録作成とメタデータ管理」、「権利とライセンス供与」、「保存」、「人工知能(AI)」である。

  このうちリテラシー、アクセシビリティ、AIは2026年改訂版で新たに追加された観点である。また、旧版では目録作成を扱っていた章がメタデータ管理を含む形に、著作権を扱っていた章が権利とライセンス供与を扱う形に変更された。

  新たな観点のうち、リテラシーの章では、図書館等の機関がメディアや視聴覚情報に関するリテラシーの向上に寄与できる可能性を示している。アクセシビリティについては、あらゆる人々が情報にアクセスできるようにするコンテンツの例としてオーディオ・ディスクリプション(音声解説)等を挙げた上で、資料の見つけやすさや検索性の向上といった、誰もが利用にたどり着けるような仕組み作りにも取り組む必要があるとしている。また、AIについては視聴覚資料に関する応用として、字幕の生成やメタデータ抽出による検索性・アクセシビリティの向上といった可能性が示される一方、権利侵害や環境への負荷といった点における懸念が提起されている。

Ref:
“Guidelines for Audiovisual Resources in Libraries and Other Institutions 2026”. IFLA. 2026-03-18.
https://www.ifla.org/news/guidelines-for-audiovisual-resources-in-libraries-and-other-institutions-2026/
IFLA Guidelines for Audiovisual Resources Working Group. Guidelines for Audiovisual Resources in Libraries and Other Institutions. Rev. ed., IFLA, 2026, 45p.
https://repository.ifla.org/handle/20.500.14598/531.3
“IFLA Guidelines for Audiovisual Resources in Libraries and Other Institutions – Revision project”. IFLA. 2025-04-08.
https://www.ifla.org/news/ifla-guidelines-for-audiovisual-resources-in-libraries-and-other-institutions-revision-project/
“Projects: IFLA Guidelines for Audiovisual Resources in Libraries and Other Institutions – Revision project”. IFLA. 2025-04-08.
https://www.ifla.org/g/avms/projects/
Gherdevich, Sonia. Guidelines for Audiovisual and Multimedia Collection Management in Libraries (Draft). IFLA, 2017, 25p.
https://repository.ifla.org/handle/20.500.14598/531.2
Royan, Bruce et al. Guidelines for Audiovisual and Multimedia materials in libraries and other institutions. IFLA, 2004, 21p., (IFLA Professional Reports, No. 80).
https://repository.ifla.org/handle/20.500.14598/531