E2893 – 子どもが遊べる図書館を目指して:「こども図書館+plus」の戦略

カレントアウェアネス-E

No.526 2026.07.09

 

 E2893

子どもが遊べる図書館を目指して:「こども図書館+plus」の戦略

寝屋川市立こども図書館・山本章弘(やまもとあきひろ)

 

●はじめに

  寝屋川市(大阪府)は、人口約22万人、面積約24.7平方キロメートルの人口密度の高い、大阪と京都の中間に位置するベットタウンである。2021年度から、京阪電車の寝屋川市駅周辺に公共施設を集約する、市民サービスの「ターミナル化」推進計画に基づくまちづくりを進め、2021年8月に「中央図書館」、2026年4月に「こども図書館+plus」が開館した。両施設はコンセプトとターゲット層を明確にし、図書館に新たな価値を付加することで、満足度の高い施設に生まれ変わり、現在、多くの市民に利用されている。

●コンセプトの設定

  こども図書館+plusは、2013年4月に開館した寝屋川市駅前図書館をリノベーションして誕生した施設である。駅前図書館は、1日平均で約700人の利用があったものの、利用者の多くはリピーターであり、新規利用者の獲得が課題であった。先に開館した中央図書館が「大人の居場所-サードプレイス」をコンセプトに掲げたこともあり、こども図書館+plus(旧駅前図書館)は、親和性の高い図書館と子育て支援施設を合わせることにより、「子どもの居場所-地域の子育て・学びの拠点」をコンセプトとして掲げ、施設整備を目指すこととなった。

●こども図書館+plusの様々な機能

  こども図書館+plusは、専有面積1,226平方メートル、約5万5,000冊の蔵書を有する施設である。絵本スペースと子育て・遊びスペースが融合した「ひろばエリア」、生後3か月から小学校就学前までの乳幼児を預けることができる「おうちプラス」、資格試験や受験勉強などに励むことができる「自習センター」の3つのエリアで構成されている、子どもを起点に多世代が集う市直営の施設である。

  • ひろばエリア

      部屋一面がゴツゴツした擬岩で囲まれた「どうくつひろば」、天気を気にせずのびのびと自由に遊べる「おかのひろば」、赤ちゃん絵本や遊具が充実した「そうげんひろば」、階段状のステージや幼児向けの滑り台がある「ひみつのひろば」、光が降り注ぐ森の中で絵本が楽しめる「もりのひろば」、ドーム型の空間でダイナミックな映像を楽しめる「よぞらのひろば」の6つのひろばで構成されており、1つ1つのエリアが、子どもの好奇心を奮い立たせる空間となっている。

  • おうちプラス

      子どもが自分のおうちのようにリラックスして過ごせる、一時預かり専用の部屋であり、保護者の通院やリフレッシュなどで、一時的に保育が必要な場合に子どもを預けることができる保育サービスを提供している。市外の子どもも利用できる「こども誰でも通園制度」も実施している。

  • 自習センター

      集中できる半個室スタイルの席をはじめ、自習スペースとして合計約100席を設け、学生を中心に多くの人に利用されている。また、受験生を応援するための受験参考書も配架している。

  • ●司書と保育士の連携による相乗効果

      2026年4月に開館して以来、4月・5月の1日平均の来館者数は約1,300人と想定を大きく上回っている。

      「読書」は図書館、「こどもの遊び場と保護者の交流」は子育て支援センターといった従来の機能ごとの縦割りではなく、複数の機能が融合した新たな付加価値を利便性の高い市駅前において提供することで、子育て世代が何度も訪れたくなる施設となるよう整備したものであり、司書と保育士が図書館での「絵本の楽しさ」や子育ての「遊び」を同時に提供できることが、最大の強みである。双方の機能が合わさることによって、これまで単独の施設では得られなかった、高い満足度につなげることができている。

    ●今後の展望

      絵本の楽しさと遊び体験を同時に提供することにより、これまで図書館を利用することがなかった層を新たに本の世界に誘引することができている。こども図書館+plusでの体験を通じて、子どもが多様な本に興味を抱き、学齢期の読書活動につながっていくように、司書・保育士が連携して、子どもと本をつなぐ取組を進めていく。

    Ref:
    “こども図書館+plus”. 寝屋川市.
    https://www.city.neyagawa.osaka.jp/kodomotosyokan_plus/index.html
    寝屋川市立中央図書館.
    https://www.city.neyagawa.osaka.jp/tosyokantokusetsu/index.html