E2898 – 『多様な子どもたちへ読書を―特別支援学校図書館運営はじめの一歩―』の発行

カレントアウェアネス-E

No.527 2026.07.23

 

 E2898

『多様な子どもたちへ読書を―特別支援学校図書館運営はじめの一歩―』の発行

埼玉県立久喜図書館・佐藤綾子(さとうあやこ)

 

   2026年3月、埼玉県立久喜図書館(以下「当館」)子ども読書支援センターでは、県内特別支援学校の学校図書館運営に携わる教職員に向けて、冊子『多様な子どもたちへ読書を―特別支援学校図書館運営はじめの一歩―』を発行した。本稿では、当館で実施している特別支援学校への支援と併せて、本冊子について紹介する。

●埼玉県立図書館における子ども読書支援サービス

  埼玉県立図書館は、熊谷図書館と当館の2館があり、各館で分担してビジネス支援サービスや健康・医療情報サービスなど様々なサービスを実施している。

  子ども読書支援サービスについては、当館が中心となって、貸出等の一般利用者への直接的なサービスを提供するのみならず、館内に「子ども読書支援センター」を設置し、県内公共図書館やボランティア、学校図書館等で子どもの読書に関わる人に向けた支援を実施している。子ども読書支援センターは、2004年3月に策定された「埼玉県子ども読書活動推進計画」に基づき、2005年4月に開設した。以降、子どもの読書支援に関わる取組への支援やネットワークの形成等を図る事業を展開している。

●特別支援学校への支援

  子ども読書支援サービスの一つとして、学校図書館の運営相談や授業のための資料・情報の紹介、学校司書や司書教諭などを対象とした学校図書館講座等を実施している。

  この学校図書館講座に参加した特別支援学校の教職員から図書館運営の相談を受けたことがきっかけとなり、特別支援学校における学校図書館の運営相談に力を入れて取り組むようになった。具体的には、特別支援学校を訪問し、書架のレイアウトの提案や新規購入本及び除籍候補本の選定など、要望に沿ったきめ細かい支援を行っている。

  以前は、講座に参加した教職員の相談から運営相談に発展する、という形だったが、講座に参加できない、困っていても声をあげられない学校にも支援を広げていきたいと考え、2024年度に県内の特別支援学校を対象に学校図書館の運営に関する実態調査を行い、各学校における実態や困りごと、希望する支援等を把握した。

●『多様な子どもたちへ読書を―特別支援学校図書館運営はじめの一歩―』の発行

  上述の実態調査では、図書の選書や除籍、装備、分類、バリアフリー資料等に関する意見が寄せられたことから、子ども読書支援センターでは、これらの課題の解決が図れるよう、分かりやすく解説した冊子を作成・配布することとし、『多様な子どもたちへ読書を―特別支援学校運営はじめの一歩―』を発行した。

  冊子では、図書の選書や除籍のポイント及びQ&A、本の並べ方を紹介するとともに、バリアフリー資料等をイラストや写真入りで解説し、「読みやすさ」を実現する道具や、読書バリアフリーの参考となるウェブサイトを紹介している。また、おはなし会や授業で図書を活用した取組、図書委員会活動など、県内特別支援学校で実施している読書活動も紹介している。学校でおはなし会を実施する際に役立つよう、読み聞かせに向く絵本の特徴やおすすめの絵本を紹介しているほか、当館職員が特別支援学校の児童生徒に実施したおはなし会のプログラム例も掲載している。さらに、運営相談を利用した学校の司書教諭が整備した図書コーナーの様子やコメントも紹介している。

  当館としては、本冊子の活用を通じて、多様な子どもたちが読書を楽しむ環境の整備が進められ、より多くの本と出会える場が増えることを願っている。

  今後も運営相談をはじめ、子どもたちと本をつなぐ取組を推進し、学校図書館における読書活動への支援に努めたいと考えている。

Ref:
“子ども読書支援サービス”. 埼玉県立図書館.
https://www.lib.pref.saitama.jp/guide/children/index.html
埼玉県立久喜図書館子ども読書支援センター. 多様な子どもたちへ読書を―特別支援学校図書館運営はじめの一歩―. 2026, 32p.
https://www.lib.pref.saitama.jp/guide/docs/tokubetushienleaflet.pdf
“子供読書活動推進計画関連情報”. 埼玉県.
https://www.pref.saitama.lg.jp/f2215/kodomodokusho/kplan.html