E2831 – 学校図書館資料保存センターの設立

カレントアウェアネス-E

No.511 2025.10.16

 

 E2831

学校図書館資料保存センターの設立

学校図書館資料保存センター理事長・森田盛行(もりたもりゆき)

●経緯

  2023年に全国学校図書館協議会(以下「全国SLA」)の運動・研究・活動の拠点である学校図書館センターが閉館となり、全国SLAの事務所が移転することとなった。それに伴い、学校図書館研究資料室も閉鎖され、資料の大部分が処分されることになった。

  保存されていた資料は、今後の学校図書館の発展に欠かせない貴重な財産であり、引き続き保存されることが望まれた。そこで、これらの資料をNPO法人学校図書館実践活動研究会が引き継いだが、資料を保存・活用していくためにはさらなる施設、人員、経費を負担することが必要であり、大きな困難を伴った。そこで多くの人々の支援を得て2023年に学校図書館に関する資料の保存等を専門とする学校図書館資料保存センター(以下「センター」)を新たに設立し、2025年1月には活動の公益性に鑑み一般社団法人化することにした。

●目的

  このセンターの目的は、学校図書館に関するさまざまな資料を手に取って学び、学校図書館の過去を知り未来を考え、学校図書館の理念・目的・活動を明確にしていくことを通して子どもの学びを豊かにしていくことにある。

  学校図書館はいつから設けられたのか、そのときの理念・目的は何か、主とした活動はどのようなものか、学校図書館法の制定後どのような道を歩んできたのか、どのように変化したのか、時代によって何がどう変わったのか、変わらずに継承してきたことは何か等、未来の学校図書館を考えるために、資料は必須のものである。

●機能

  センターには、以下のような機能を備えたいと考えている。

  • 収集機能:学校図書館の資料を中心に行政・学会・団体・学校現場の作成する紙・デジタルの資料を幅広く収集する。特に、散逸しやすい灰色文献を充実させる。
  • 保存機能:年月が相当経過し劣化が進んでいる紙の資料を中心にデジタル化、化学処理等により長期にわたる保存ができるようにする。
  • 研究機能:学校図書館、学校教育の研究者、学校図書館を論文のテーマにする学生、活動の活性化を図るために研究する学校現場の教職員、学校図書館を研究する市民等を資料面で支える。
  • 教育機能:学校図書館関係者・子どもの学びに興味関心のある市民等を対象に主に学校図書館の経営・運営・活動等を主題にした研修会を開く。

●資料

  現在は主に次のような資料を収集・保存している。

  • 国際的な学校図書館・関連団体(国際学校図書館協会(IASL)・国際図書館連盟(IFLA)・ユネスコ)の会報、研究大会資料等
  • 国・都道府県、文部科学省・教育委員会等による告示、通達、調査・統計・行政資料
  • 大学・研究機関の紀要、出版物、論文等
  • 全国・都道府県の学校図書館団体による会報、紀要、研究記録・研修会資料等
  • 学校図書館振興・運動団体等の会報、調査統計資料、研究会・研修会等資料等
  • 読書振興・運動団体の会報、研究資料、研究会・研修会資料等

  センターが本格的に活動を開始したのは2025年からであり、資料の整理、施設・設備の改修・改善がまだ不充分である。その中で多くの人々から応援され、会員とセンターの活動に関心のある方を対象にした研修会を始めたところである。多くの人々からの支援に感謝し、活動を進めていきたい。

Ref:
学校図書館資料保存センター.
https://slmpc.jimdofree.com/