E2498 - 「読みたくなる図書だより」をめざして

カレントアウェアネス-E

No.436 2022.06.09

 

 E2498

「読みたくなる図書だより」をめざして

鹿児島県立川薩清修館高等学校・坂口味穂(さかくちみほ)

 

  筆者が所属する鹿児島県立川薩清修館高等学校は,ビジネス会計科と総合学科の2学科からなる学校である。生徒数は200人にも満たない小規模校ではあるが,勉強はもちろん,部活動にも力を入れており,生徒はそれぞれの個性を生かしながら学校生活を送っている。総合学科の科目のひとつである探究学習では,図書館・資料の使い方などをレクチャーする「探究オリエンテーション」を実践したり,図書館の資料を活用しての学習を行うなど,図書館・学校司書(以下「司書」)としてもやりがいのある学校である。

  筆者が司書として力を入れている仕事のひとつに,図書だよりの作成がある。年11回(8月以外)毎月発行している。なぜ筆者が図書だよりに力を入れているのか。例えば,館内の工夫は図書館に来てもらわなければ見てもらうことはできない。しかし,図書だよりは無条件に全校生徒へ配布をしてもらえる。たとえ読書に興味がなく,図書館に来る機会を失っている生徒がいたとしても,図書館からの情報を届けることができるのである。そのため,図書館に来てもらうきっかけとして,図書だより作成に重きを置いている。

  そう思いはじめたのは,生徒のある言葉がきっかけであった。現在の勤務校に赴任して数か月が経った頃,図書だよりを発行したときに「読まずに捨てている人がいたよ」と教えてくれた。はじめはただショックを受けるだけだったが,そのうちに「捨ててもいいような図書だよりを作っているのは私か」と考えるようになった。それからは今までの図書だよりを見直し,どう工夫するべきかを考えながら図書だよりを作るようになった。

  はじめに考えたのは「活字に苦手意識のある生徒に向けて作成する」というものであった。図書だよりは読んでもらえなければ意味がない。そこで,情報を伝えるということを最優先に紙面作りをしようと決めた。まず行ったのは,紙面上の文字数を減らすことであった。そのため,最初に入れていた司書の挨拶文はカットし,そのスペースを本の紹介に活用できるようにした。本のあらすじ等も,可能な限り短い文章で伝えるように努力をしている。他にも,図書だよりに登場させるキャラクターを考案した。吹き出しでキャラクターに伝えてもらうようにすることで,重要な部分が他の文章に埋もれないよう工夫をしている。フォントも,基本的にはユニバーサルデザインのフォントを使うというルールを作った。文学以外の書籍も紹介したり,生徒が食いつくようなコーナーのタイトルを考えたりと,ひとつひとつに「そうすることの意味」を考えながら作成している。少しずつではあるが,生徒や職員の図書だよりに対する印象が改善していったように思う。2022年度からはQRコードを活用してアンケートを取る,読者参加型の企画を取り入れた。ちなみに5月号のアンケート内容は,5月21日の「探偵の日」にちなんで「あなたが思う『探偵』は誰ですか?」というものだ。小説や漫画,ドラマ,映画,ゲームなどにも様々な探偵がいるため,どんな回答が集まるか楽しみである。

  様々な工夫を行う中で,図書だよりの中に8コマ漫画を入れることにした。目的は「毎月変わらず入っている楽しみ」な要素を入れるためである。この漫画も図書だよりに掲載し始めてから,今年で6年目に突入した。漫画の内容は,図書館での日常や司書の仕事中に起こった面白い出来事など様々である。生徒とのエピソードでは「この間の会話を漫画にしてもいい?」と断りを入れるのだが,生徒は大喜びで了承してくれる。中には自ら「ネタにしていいよ」と言ってくれる生徒もいる。職員も同様で「漫画に出演できる」と快諾してくれている。直接読書や本に関するエピソードばかりではないが,図書館の雰囲気を伝えることができている。

  おそらく図書だよりが配布されるときは表面が上になるだろうと考え,漫画は裏面に掲載している。そうすることで,裏面の図書紹介も見てもらえるのではないかと考えた。徐々にではあるが「今月号に載っていた本はありますか?」と図書館に来てくれる生徒も増えた。また「今回も楽しかった!」「今月号はまだ出ないんですか?」と生徒は図書だよりを楽しみにしてくれているようだ。8コマ漫画を読んで,図書館ではもちろん,教室や職員室でも会話や議論が始まることもあるようで,話題提供としての役割を果たすこともある。毎月のネタ探しやイラストを描く作業は時間も気力も要するが,楽しみに待ってくれている人のために頑張っている。

  2022年2月24日,その漫画を1冊の冊子にまとめて本校のウェブサイトで公開した。過去5年分の漫画から掲載する作品を図書委員に選んでもらった。冊子のタイトルは「うちの図書館」。これも図書委員が考えてくれたものである。冊子は近隣中学校に配布をしたり,本校ウェブページに掲載をしたりと学校PRに用いられ,ありがたいことにたくさんの反響があった。現在も本校ウェブページの専用バナーから閲覧ができる(2022年8月31日まで)。興味のある人はぜひ閲覧願いたい。

Ref:
“「うちの図書館」期間限定公開!”. 鹿児島県立川薩清修館高等学校. 2022-02-24.
http://www.edu.pref.kagoshima.jp/sh/sensatsu/docs/2022022400086/
寿ジュリア. うちの図書館. 鹿児島県立川薩清修館高等学校, 2022, 35p.
http://www.edu.pref.kagoshima.jp/sh/sensatsu/docs/2022022400086/file_contents/utitosyo1.pdf
“04.図書だより”. 鹿児島県立川薩清修館高等学校 公式ブログ.
https://sensatsu.edu.pref.kagoshima.jp/category/bunrui/bunrui38/
鹿児島県立川薩清修館高等学校.
http://www.edu.pref.kagoshima.jp/sh/sensatsu/