E222 – 英米両国の議会が科学情報のオープンアクセス化を勧告

カレントアウェアネス-E

No.41 2004.08.04

 

 E222

英米両国の議会が科学情報のオープンアクセス化を勧告 

 

 英国下院科学技術委員会は7月20日,『科学出版物:すべての人に無料で?(Scientific Publications: Free For All?)』を刊行し,政府に対して科学技術情報のオープンアクセス化を推進するよう勧告した。これは,科学雑誌の価格と利用可能性についての,出版社,学協会,研究者,図書館等へのヒアリングを含む,半年間にわたる調査(E167参照)を総括する報告書である。

 レポートでは,雑誌価格の高騰と図書館予算の逼迫により,研究に必要な科学雑誌の配置が不満足なものとなっていると指摘し,研究成果へのアクセスを改善するため,全ての高等教育機関が機関リポジトリを設置できるよう支援すること,公的資金の投入された研究成果については誰もが無料で利用できるようにリポジトリへの登録を義務付けること,それらのリポジトリを監督しネットワーク化する機関を設置すること,投稿料(author pays)方式の出版モデルを実験的に推進するため基金を設立することなどを柱とした勧告を行っている。

 一方,米国では7月14日,下院歳出委員会が2005会計年度予算案承認に伴い,国立衛生研究所(NIH)が助成した研究成果について,出版6か月後に掲載論文をPubMed Central(E096参照)に収録し,誰にでもアクセス可能とするよう勧告した。これは,NIHの5月の提案に基づくもので,雑誌価格の高騰による生物医学情報へのアクセス制限を緩和し,税金による研究成果を公共財として位置付けようとするものである。

Ref:
http://www.publications.parliament.uk/pa/cm200304/cmselect/cmsctech/399/39902.htm
http://www.arl.org/sparc/core/index.asp?page=o31
http://www.arl.org/sparc/taxpayer/NIH_access_report.pdf
E167
E096