カレントアウェアネス-E
No.357 2018.11.08
E2070
平成30年台風第21号による図書館等への影響
2018年9月4日に徳島県南部に上陸し,近畿地方を縦断した平成30年台風第21号により,広い範囲で様々な被害が生じた。本稿では,2018年11月2日までの情報を基に,台風の影響を受けた図書館等の状況を中心に紹介する。
●図書館への影響
この台風により,多くの公立図書館,大学図書館が臨時休館を発表した。蒲郡市立図書館南部市民センター分室(愛知県)をはじめとする館で倒木の被害があったほか,生駒市図書館北分館(奈良県)等での窓ガラス破損や,滋賀文教短期大学図書館等での雨漏りの被害も見られた。京都府立図書館では,9月6日にこの台風による京都府内の図書館の被害について公表し,9月11日にも情報を更新した。また,停電発生に伴い,9月6日から9月7日午前9時まで,伊丹市立図書館ことば蔵(兵庫県)が市民に開放された。https://twitter.com/Book_Partner/status/1037208396955627520
https://twitter.com/Ikoma_library/status/1036873776523165696
https://twitter.com/Shigabunkyo_lib/status/1037172490051584001
https://www.library.pref.kyoto.jp/?p=15950
https://twitter.com/Itami_city_PR/status/1037644122251620352
多くの館では,臨時休館後,数日で再開が発表されたが,被害等のために再開が遅れた館や,再開したものの利用を一部制限した館もあった。公立図書館については,岸和田市立図書館本館(大阪府)で,屋根瓦の一部崩落,屋根本体の構造物落下等により休館し,9月24日から屋根瓦の撤去及び改修工事を行っていた。屋根瓦の撤去が完了し,11月1日に再開したが,改修工事は2019年2月28日までの予定で続けられている。松本市あがたの森図書館(長野県)では,電気設備故障のため休館し,復旧工事終了後,10月17日に再開した。大学図書館については,和歌山県立医科大学図書館紀三井寺館(和歌山市)で,窓ガラスが割れて破片が飛び散ったため9月5日はしばらく休館し,午後5時30分に開館したが,安全確保ができていないため2階を使用禁止としていた。9月11日には,2階も使用可能となった。大阪大学外国学図書館(大阪府箕面市)では,窓ガラスの破損により9月6日から閲覧室の一部が使用不可となり,9月13日から使用可能としている。京都大学吉田南総合図書館(京都市)では,雨漏りの修復作業のため2階閲覧室の大部分を休室としており,10月11日午後から通常どおり利用可能となった。ただし,雨漏り箇所をブルーシートで覆った状態の仮復旧であり,今後本格的な復旧工事を実施する予定としている。
https://www.city.kishiwada.osaka.jp/site/toshokan/tosyokan-tafu.html
https://www.city.kishiwada.osaka.jp/site/toshokan/tosyokan-kouji.html
https://www.city.kishiwada.osaka.jp/site/toshokan/saikai.html
https://www.city.matsumoto.nagano.jp/smph/sisetu/oshirase/rinji_kyuukan_agata.html
https://twitter.com/wmul_k/status/1037170677902540800
https://twitter.com/wmul_k/status/1037249319810686976
https://twitter.com/wmul_k/status/1039380760845643777
https://www.library.osaka-u.ac.jp/news/20180905_gaikoku/
http://www.kulib.kyoto-u.ac.jp/bulletin/1379591
http://www.kulib.kyoto-u.ac.jp/bulletin/1379693
●博物館等への影響
博物館,美術館等についても,被害のためしばらくの間休館した館があった。伊丹市昆虫館(兵庫県)では,倒木により入口までの通路が通行困難となったため9月5日から休館し,9月22日に再開した。京都国立博物館(京都市)では,庭園での倒木等の被害に伴う館内整備のため,9月11日から9月27日まで休館した。清須市はるひ美術館(愛知県)では,台風による補修工事のため9月11日から休館し,11月3日に再開した。https://twitter.com/itakon25/status/1037106476911755264
https://twitter.com/itakon25/status/1043305367843758080
https://www.kyohaku.go.jp/jp/oshirase/post_180906.html
https://twitter.com/kh_museum/status/1054936662042599424
●被災地を支援する動き
日本医学図書館協会は,6月18日の大阪府北部を震源とする地震(E2048参照)及び平成30年7月豪雨(E2056参照)の被災地の大学・病院・医療関連機関等に無償で文献複写サービスを提供するなどの支援を行っている会員館に加え,台風第21号及び平成30年北海道胆振東部地震(E2071参照)の被災地に同様の支援を行っている会員館についても情報を公開している。http://plaza.umin.ac.jp/~jmla/info/hisaichi_kanrentaio_2018.html
●被災資料保全のための動き
9月6日,文化財防災ネットワークが,台風第21号及び平成30年北海道胆振東部地震による文化財等への被害状況や救出活動に関する情報を寄せるよう呼び掛けた。9月11日には,歴史資料ネットワークが,「2018年台風21号および北海道胆振東部地震被災地のみなさま,ボランティアのみなさまへ(歴史資料保全のお願い)」を発表した。https://ch-drm.nich.go.jp/news
https://ch-drm.nich.go.jp/news/【速報】台風第21号および北海道胆振地方中東部を
http://siryo-net.jp/info/201809jebi-iburi/
●図書館等関係団体の動き
全国科学博物館協議会は,9月4日から,台風第21号による加盟館園の被害状況や必要な支援内容に関する情報を収集している。9月5日には,西日本自然史系博物館ネットワークが「2018年9月4日台風21号に伴う被害状況について」を公表し,9月7日にも情報を追加している。日本図書館協会は,9月7日,被災図書館向けの対応方法などを示した「被災図書館の方へ」を同協会ウェブサイトのお知らせ欄に再掲した。9月11日には,北海道博物館協会が「平成30年台風21号および北海道胆振東部地震による加盟館園の被災状況について」を公表し,随時更新している。9月21日には,全国歴史資料保存利用機関連絡協議会が,9月13日時点での「平成30年台風21号による資料保存利用機関等被災状況」を公表した。https://www.facebook.com/jcsm.jp/posts/875784535878564
http://www.naturemuseum.net/blog/2018/09/20189421.html
http://www.jla.or.jp/home/news_list/tabid/83/Default.aspx
http://www.jla.or.jp/committees/tabid/749/Default.aspx
http://www.hkma.jp/information/1191
http://www.jsai.jp/index.html
http://jsai.jp/ibbs/b20180921typhoon21.pdf
関西館図書館協力課調査情報係